・何故眠るのか・眠らなければならないのか?
諸説あるが、結論から言うと、「脳の疲労を回復させるため」「記憶の整理・定着のために必要だから」である。
脳の疲労と睡眠?と疑問を抱くだろう。
しかし、現代人は自分が想像している以上に脳を酷使しているのである。
人間の脳内は遥か昔から構造や各機能の容量に変化はしていない。
しかし、時代が進むにつれて、機械を使うようになり、機械を使う時間が増えていき、今では我々の身近に機械がある。
そしてその機械はほとんどがデジタル化されており、今や現代人にとって必要不可欠な存在である。
デジタル化が主流となったということはどういうことだろうか。色んな情報が自分がどんな場所にいても瞬時に知ることがで
きるということが一つある。
では、遥か昔の人間は、一つの情報を知ることができるのにど
の位の時間・日数がかかったか想像できるだろうか?
実は江戸時代の1か月分の情報量が現代では1日に匹敵していると言われている。
脳内の構造や各機能の容量は変化していないのに脳内に吸収される情報量の多さだけは格段に増えているということにお気づき頂けただろうか。
つまり、現代人は、1日生活をしているだけで1か月分の情報を吸収しているということになる。
ともなれば、脳の疲労は思ったよりひどいということが想像できるだろう。
そして、脳疲労のまま眠ることをせずに翌日を生活したらどうなるだろうか・・・
超健康体の人であれば翌日まで影響はないだろうけど、判断力や集中力の低下は誰しもに起こりうる症状だろう。
判断力や集中力の低下は思わぬケガや事故を招く。
これらを防止するためにも眠るということは必要不可欠なのだ。
次に記憶の整理・定着だが、脳内にはアミロイドβという物質が日中存在している。
これはいわばゴミであり、蓄積されていくと、認知症リスクが30%高くなると言われている。
このアミロイドβをなくすには、寝ることが重要と言われている。寝ている間に脳がアミロイドβという脳内のゴミを掃除している。この掃除をしている間にその日一日で記憶したことを整理して定着もしている。
脳内のゴミを排出しつつ、記憶の整理定着をさせるためにも睡
眠は必要不可欠なのだ。
また、寝ている間の深い睡眠をノンレム睡眠というが、このノンレム睡眠の時だけ脳が休むことができるのである。
脳を休ませるためにも睡眠は大事なのだ。
・眠りと健康の関係
眠らないと健康にどんな影響が出るのか。
ストレスは誰もがあるだろう。
ではあなたは次の症状にいくつあてはまるだろうか?
「眼精疲労」「首や肩の凝り」「偏頭痛」「耳の不調」「だるさ」「倦怠感」「イライラ」「不眠・睡眠障害」「なんだか取れない疲労」
一つでも当てはまったら、あなたは良い睡眠がとれていないということであり、脳が疲労しているということになる。
この脳疲労が蓄積されていくと、自律神経やホルモンバランスの乱れ、免疫力の低下になり、心身に大きなダメージを与えていることになる。
更に掘り下げると、睡眠は腸にも影響を及ぼしていることが分かる。良い睡眠をとるためには睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されていないと深く質の高い睡眠がとれない。
このメラトニンは、豊富なたんぱく質を摂取し、消化・吸収されセロトニンを合成させることでメラトニンが分泌されるのだが、腸内環境が良くないと、セロトニンは作られないのである。
そしてこのセロトニンは脳の安定剤の役割を果たしているため、腸内環境も睡眠に影響、その逆も然りなのである。
もっと掘り下げていくと、睡眠は美にも影響を及ぼしていることがわかる。
ただ、今回のテーマ睡眠と健康からは脱線してしまうので、ここでは割愛する。
・日本における眠りについて
日本は「世界一睡眠時間の短い国」と言われている。
アメリカ人8.8時間、フランス人8.5時間、韓国人7.85時間、これらの数字は平均睡眠時間である。
では日本人の睡眠時間はどのくらいだろうか・・・
6.48時間である。
極めて短いと言える。
そして2017年睡眠負債が日本で流行をした。海外からも「日本人は働きすぎで眠らなさすぎ」と言われてしまっている。
そして不眠に悩む日本人は多く、睡眠外来や睡眠導入剤を
服用する人もいる。
また、男性より女性の方が睡眠時間が短いのは世界でも日本だけと言われており、日本における家事の分担化、女性の家事や子育ての負担はまだまだ大きいことが窺える。
睡眠時間が短くても全く問題のない人がいるが、自分に適した睡眠時間を取らないと上述したように健康に影響が出ることは明白である。
そして最近では睡眠時間より良い睡眠の質が重視されている。
・脳疲労を回復させる方法
良い睡眠をとるためには日頃から脳ケアをしなくてはいけないということがお分かりいただけただろうか?その方法について述べていこう。
① デジタルファスティング(デジタルデトックス)
現代人の生活にスマホやパソコンは必要不可欠である、そしてこのスマホやパソコンの⾧時間の使用は眼だけではなく脳も疲労を蓄積させているのだ。
スマホやパソコンから放出されている光(ブルーライト)には、ピントを合わせる水晶体に負担をかけ、網膜に達する。
網膜の中心には視力に必要な黄斑があり、そこに悪玉活性酸素が発生してしまう。
また、ブルーライトを⾧時間見ると、メラトニンが減少することもわかっており、更に視床下部の働きにも悪影響を及ぼすことが分かっている。
ブルーライトを見続けていると目・脳は常に刺激されてしまい、自律神経における交感神経が優位となり、寝つきが悪くなったり、⾧時間寝ても寝た気がしない状況で起床することになってしまう。
対策としては、適宜にスマホやパソコンから目を離して目を休めること、寝る前(2時間前)にはパソコンやスマホの電源を落としブルーライトを見ないことである。
② 血行促進
全身の血流を促進させることによって、首や肩の筋肉を弛緩し、頭部の血行が促進され、リ ンパの流れが良くなり、疲労物質や老廃物の排出に効果がある。
湯船に浸かった後、眠くなるのは全身の血行が促進されて、自律神経における副交感神経が優位となっているためである。
この状態で布団に入るとすんなり眠りについて翌朝スッキリ目が覚められるようになる。
③ アロマテラピー
心地よい嗅覚は脳内に「癒し」をもたらし、副交感神経を優位にさせる。
ラベンダーやカモミールは有名だが、フランキンセンスやイランイラン、ゼラニウムもおススメ。
自分にとって心地よい香りを探してみてはいかがだろうか。
④ 水素
脳が疲労しているとき、交感神経が優位になり、活性酸素が大量に発生している。
この活性酸素を減らすには水素が必要である。水素の含まれたサプリや水・水素吸引をすると眠くなるので試してみてはいかがだろうか。
次に栄養学の観点からできる対策を述べていこう。
① オメガ3
脳は何でできるかご存じだろうか?60%以上は脂でできているのである。
当然脳にも栄養は必要であるが、オメガ3を摂取することを推奨する。
オメガ3は頭の良くなる油と呼ばれ、記憶力や計算力、知能の向上や認知症にもイイと言われている。
② アスタキサンチン
アスタキサンチンとは赤い色の野菜や魚に含まれている成分である。
アスタキサンチンには、抗酸化力がとても高く、ビタミン C の6000倍ともいわれている。
アスタキサンチンを摂取することで脳や目の疲れをとることができる。
③ ウコン
ウコンと聞くと「肝臓にいいんでしょ?」と思うだろう。
しかし、脳にもいいことが分かっている。
脳を活性化し、認知症の改善にもなる。
また、脳の老廃物を排出力があるだけではなく、腸内環境の改善にも効果がある。
④ ビタミン B 群
疲労回復と言えばビタミンだが、疲労をしているのは脳も同じ。よってビタミン B 群を摂取すると脳の疲労回復にもつながるのである。
⑤ NG 食品を摂取しない
白砂糖・食品添加物・グルテンなどは、消化が困難で腸内環境を悪化させる。
腸内環境が悪いと、腸内からの良い信号や良いホルモンは分泌されず、脳にもその信号やホルモンが伝わらない。
結果、脳の機能を阻害してしまうのである。
他にもいくつかあるが主要なものを記述した。
全てを実践するのはとても難しいので、ご自身の生活習慣にあわせてできることから取り入れてみよう。
次は、睡眠の質を上げる方法について述べていこう。
【朝の習慣】
① 光と運動
朝起きたらまずカーテンを開けて太陽光を浴びよう。
朝日を浴びることでメラトニンの分泌スイッチが入り、夜眠りにつく頃にしっかりとメラトニンが分泌される。
少し早起きをしてウォーキングという朝活を入れたり、少し早めに家を出て一駅歩くなど外を歩くことを取り入れてみよう。
② 40分の有酸素運動
一日40分の有酸素運動は、脳疲労を回復し、睡眠の質を上げる効果がある。
脳疲労が回復するということは、脳の機能が活性化され、自律神経を調整し、精神の安定、ストレスの軽減、代謝アップなどにつながる。
40分の時間を確保するのが難しい場合は、午前中に20分、午後に20分と分けてもよい。
【夜の習慣】
① 食事
夜の食事は寝る3時間前に済ませることがいい。
そして夜にたくさん食べることもおすすめしない。
何故なら、胃腸は24時間年中無休で活動をしており、たくさん食べ物を食べることで、胃腸の活動が活発化されてしまうからである。
胃腸の活動が活発化されるとどうなるか。
寝ている間にオーバーワークし、体力を消耗してしまうので、結果体力の回復にはならず翌朝、「体がだるい」という状態で目を覚ますことになる。
また、消化しようと胃腸が頑張るので「眠れない」「眠りが浅い」という睡眠障害にもつながる。
夜の食事は消化の良いものを摂取すること且つ寝る3時間前に済ませることがよい睡眠にもつながるのだ。
寝る3時間前に済ませることができない場合、夕飯の時間を早めたり、軽いもので済ませよう。
② お酒を飲まない
「お酒を飲むとよく眠れる」というひとがいるだろう。
しかし、これは誤解なのだ。
お酒を飲むと眠れるのではなく、昏睡・気絶状態で眠っているのでよく眠れると勘違いしているのだ。
また、アルコールを摂取することで脳の回復を妨害しているので、お酒を飲まないことを推奨する。
③ デジタル消灯
ブルーライトを浴び続けていると、目と脳は覚醒状態になってしまうというのは、デジタルファスティングで述べた。
勿論、質の良い睡眠をとるためにはブルーライトを浴びない方が
いい。
寝る2時間前にはスマホやパソコンを使わないようにし、目と脳を休めることを心がけよう。
④ 入浴
毎日残業や帰宅が遅い人、そして睡眠時間がきちんと確保できない人は入浴をシャワーで済ましてしまうこともあるだろう。
できればシャワーではなく、きちんと湯船に浸かってほしい。
何故なら、入浴をすることで、深部体温を上げ、徐々に下がることで自然と眠くなり、眠りにつきやすくなり、結果質の良い睡眠になるという効果があるからだ。
可能ならば寝る1時間半前に15分湯船に浸かろう。
すると、入力後90分後には自然と眠くなり、その状態で布団に入るとすんなり眠れるからだ。
結果質の良い睡眠に繋がり翌朝スッキリ目を覚ますことができる。
⑤ 温度・湿度
暑すぎたり寒すぎる就寝環境で寝てしますと、眠れなくなったり、目が覚めてしまうことがある。
冷房や暖房器具を上手に活用して自分に快適な温度と湿度をみつけよう。
温度に関しては、夏は26~28度、冬は20度前後が推奨されている。
⑥ 香り
ピロースプレーを寝具に香りづけしたり、ティッシュにアロマオイルを垂らして枕元におくことでも睡眠の質を上げることにつながる。
自分の好きな香りは脳に「癒し」をもたらし、副交感神経を優位にしてくれる。
ラベンダー・ベルガモット・カモミール・イランイラン・
フランキンセンスがおススメだ。
その他、睡眠の質を上げるために参考になることを述べていこう。
① 発酵食品・食物繊維
睡眠ホルモン、メラトニンは腸で作られることは既に述べた。腸内環境が悪いと、メラトニンは上手に作られないだけではなく、活性酸素や毒素が排出され、それが脳内に行き渡ったり、自律神経を乱す原因なる。
結果として睡眠に悪影響を及ぼすのだ。
② マインドフルネス瞑想
背筋を伸ばし胸を開き、目は閉じるか半目の状態で鼻から息を吸い、口から⾧く息を吐きだす。
深呼吸にも似ているが、深呼吸と違うのは、この呼吸をしている体感に意識を向けることである。
マインドフルネス瞑想をすると、副交感神経が優位になり、睡眠の質が上がるのだ。
睡眠だけではなく、起きているときにも行うことで、一日のパフォーマンスが向上するのだ。
最初はうまくいかなくても積み重ねていくことで自然とできるようになる。
まとめ
いかがだったろうか。私は、脳疲労睡眠アドバイザーの資格を持っているため、その内容を主に織り込んで記述をしたが、実はまだ述べていない情報がたくさんあるのだ。
今回は睡眠と健康についてがテーマであるが、良い睡眠は美容にも良い効果をもたらすのである。
生活に様々な知識を活かしていくことで、自身の健康につながっていくだろう。