薄毛対策というと、シャンプーや育毛剤など頭皮への直接ケアに目が行ってしまいがちですが、あなたが普段口にするその食べ物も薄毛に大きく関係していることを知っていますか?乱れた食生活を送ることで、頭皮環境が悪化して薄毛に繋がってしまう恐れがあるのです。ここでは薄毛対策に効果的な食べ物についてご紹介します。
食べ物が薄毛に効く理由とは?
髪の毛は毛細血管にある毛乳頭という細胞から栄養を受けて育ちます。
この毛乳頭は髪の毛を育てるために毛細血管から 必要な栄養素を吸い取っているので、頭皮の血流が悪くなると頭皮の毛細血管に十分な栄養素が行き届かなくなり、髪の毛の細胞分裂がスムーズに行かずに髪の毛が成長しにくくなる、または抜けやすくなってしまうのです。
人の体は栄養を摂取すると生命維持に必要な臓器から優先的に栄養が届けられるため、髪の毛への栄養輸送は後回しになってしまいがちです。現代では、インスタント食品やファーストフードのようにすぐ食べられるものが溢れているため、摂取カロリーは十分でも髪の毛に必要な栄養素が十分に取れていない「隠れ栄養失調」状態の人が多くいると言われており、頭皮への栄養不足がより深刻な問題となっているのです。
残念ながら「この食べ物を食べれば髪の毛が生える!」という薬のような食材はありません。しかし、血の巡りや髪の毛の成長に関わる栄養素を積極的に摂ることで、髪の毛が育ちやすい健康的な頭皮環境を作ることができるのです。
髪の毛に必要な栄養素は食べ物から摂らなければ届きませんし、栄養は体の中で貯蔵しておくこともできないので、毎日必要な栄養素をコツコツ摂っていく必要があるのです。
髪の毛の健康維持に必要な栄養素は?
薄毛対策には、基本的にさまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切ですが、中でも特に重要なのが
- タンパク質
- ビタミン群
- 亜鉛
の3つです。それぞれがどのように髪の毛に関係しているのか、一つずつ詳しく見てみましょう。
タンパク質
まず一点目は、髪の毛や肌、爪を作るために欠かせない栄養素として広く知られているタンパク質です。
髪の毛の成分のほとんどは「ケラチン」というタンパク質で構成されており、ケラチンが不足してしまうと、髪の毛が細くなり、新しい髪の毛が生えてこなくなるなど、薄毛になってしまいかねません。ケラチンは18種類のアミノ酸が結合してできたものなので、アミノ酸、つまりタンパク質から作り出されます。
ケラチンを直接含む食べ物はないので、ケラチンの材料となるタンパク質を積極的に摂る必要があるのです。
ビタミン群
次はビタミン群です。ビタミンには
- 頭皮を乾燥から守る
- 細胞の再生・育成をサポートする
- 血行を促進する
などの大切な働きがあるので髪の成長には必要不可欠な栄養素です。
ビタミンAは体内に入るとβカロチンに変化して、細胞分裂を正常化させて頭皮の健康を保ちます。
「発育ビタミン」と呼ばれるビタミンB2には、細胞の新陳代謝を促進させて髪や皮膚など細胞の再生を支えるほか、皮脂の過剰分泌を抑えて頭皮の毛穴が詰まるのを防ぐ働きもあります。
そのほか
- ビタミンB6はタンパク質の代謝・吸収の促進
- ビタミンCは頭皮の乾燥を防いで皮膚の健康を維持
- ビタミンEやビタミンPは毛細血管の血流を促進
する働きがあります。
亜鉛
亜鉛はミネラルの一種で、髪の主成分・ケラチンの合成に欠かせない髪の成長に必須の栄養素です。
中でも亜鉛の働きで注目を集めているのが、男性型脱毛症(AGA)の予防効果です。AGAの原因のひとつに「1型5αリダクターゼ」という酵素が原因で発生してしまう「ジヒドロテストステロン」という強力な男性ホルモンが挙げられるのですが、亜鉛にはそのもととなる1型5αリダクターゼ の働きを抑えてくれる作用があります。
薄毛の対策になるのはどんな食べ物?
髪の毛の成分の源!タンパク質の多い食品
髪の毛の主成分であるケラチンを育てるためには、普段の食事で積極的にタンパク質を摂取する必要があります。
タンパク質を豊富に含む食材には
- 肉や魚
- 大豆製品
- 乳製品
- 卵
などがあります。一日当たりに必要なタンパク質の量は、その人の体格や活動量などによって 異なりますが「体重×1.1g~1.2g」がおおよその目安になります。
文部科学省の食品成分データベースによると、100gあたりのタンパク質の量は肉類で
- 豚ヒレ肉39.3g
- 鶏ムネ肉(皮なし)で38.8g
- 牛モモ肉30.0g
魚類では
- カツオ25.8g
- マグロ(赤身)26.5g
- サケ22.3g
大豆製品では
- 枝豆11.6g
- 納豆8.3g
- 豆乳7.2g
とされており、乳製品では
- 牛乳6.0g
- プロセスチーズ3.2g
卵は6.2gとなっています。
一般的にタンパク質は高カロリー・高脂質なイメージがもたれていますが、ヘルシーな大豆製品や魚類にも豊富に含まれていますし、肉類でも鶏ムネ肉などは他の部位よりもカロリーが控えめです。
ただし、植物性タンパク質だけ摂ればいいというわけではありません。動物性タンパク質には「メチオニン」という髪の毛の育成に重要な必須アミノ酸が植物性タンパク質よりも多く含まれているので、動物性タンパク質・植物性タンパク質いずれもバランスよく食べるようにするといいでしょう。
毛髪の育成に必須!亜鉛の多い食品
髪の主成分・ケラチンの合成に必要な亜鉛は、一日あたり
- 成人男性で12mg
- 成人女性で9mg
必要とされています。
亜鉛が多く含まれている食品としては、
- 牡蠣(100gあたり13.2mg)
- 豚レバー(6.9mg)
- 煮干し(7.2mg)
- 牛肩肉(5.0mg)
などがあります。日本人にとって亜鉛は不足しやすい栄養素だと言われているので、普段の食生活で意識して摂る必要があります。場合によってはサプリメントを使って効率よく摂取するのもいいですね。
ここで、亜鉛を効率よく摂取するために気をつけたいポイントがあります。それは、
フィチン酸や食物繊維、シュウ酸といった亜鉛の吸収を妨げる成分と合わせて摂らないようにする
ことです。
フィチン酸は
- 玄米
- 小麦
- 穀類
- 豆類
- インスタント食品
に、シュウ酸は
- ココア
- 紅茶
- ナッツ
などに多く含まれているのですが、いずれも亜鉛と結びつきやすく、亜鉛を体外に排出してしまう働きがあります。
ただし、フィチン酸は肉や魚の動物性タンパク質と一緒に摂ると、亜鉛との結合影響を少なくすることができるので、亜鉛を摂る際は食べ合わせを意識するといいでしょう。
毛髪に栄養を送り届ける!ミネラルの多い食品
先ほど紹介した亜鉛もミネラルのひとつですが、亜鉛のほかにも薄毛対策のために積極的に摂りたいミネラルがあります。意識して摂取したいミネラルは、
- マグネシウム
- ヨウ素
- 鉄分
の3種類です。
一つ目のマグネシウムは、血液の循環を正常化させ、神経の興奮を抑える働きなどがあります。そのためマグネシウムが不足してしまうとストレスが溜まりやすくなり、またそれによる血流の悪化や過剰皮脂分泌を引き起こしやすくなるため、髪の毛に必要な栄養が届きにくくなってしまうのです。
マグネシウムは栄養素の中でも比較的摂取しやすい成分ですが、特に
- ゴマ
- 落花生
- 木綿豆腐
- 油揚げ
- 干海老
- アサリ
などといった豆類や果実種、魚介類に多く含まれています。
二つ目のヨウ素は、タンパク質を代謝する甲状腺に働きかけるミネラルです。そのためヨウ素が不足してしまうとタンパク質の合成がスムーズに行われなくなり、髪の育成が滞ってしまいます。
ヨウ素は
- ヒジキ
- ワカメ
- 海苔
- 昆布
といった海藻類に多く含まれているので、こうした食品も積極的に摂るようにしましょう。
三つ目の鉄分は、血行促進のために必要な栄養素です。鉄分は血液の中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料になるので、鉄分が不足すると血液は酸素を運ぶことができず、頭皮の血流が悪化してしまいます。
鉄分は
- レバー
- ほうれん草
- ひじき
などに含まれています。
血行促進にはカプサイシンも有効!
「辛いものばかり食べると髪の毛が薄くなってしまう」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし実はその反対で、辛味成分であるカプサイシンは薄毛対策に摂りたい成分のひとつなのです。
血行不良によって頭皮に栄養が行かないことも薄毛の原因のひとつだとお話しましたが、カプサイシンを摂ることで血行が促進され代謝がアップするうえ、体内でIGF-1という頭皮に働きかけるホルモンが作られ、髪の根元にある毛母細胞が活性化されます。
また大豆製品に豊富に含まれるイソフラボンには、
- 血管を拡張する作用
- 男性ホルモンを抑制する作用
があるので、カプサイシンとイソフラボンを合わせて摂ることで薄毛対策の効果がアップするのです。
ただし、カプサイシンを食べ過ぎてしまうと胃荒れなどの体調不良を起こす恐れもあるので気をつけましょう。
頭皮環境にマイナスな食べ物
これまで頭皮環境を改善するための食べ物についてご説明してきましたが、反対に頭皮環境を悪化させてしまう原因となる食べ物もあります。
特に注意が必要なのが
- 塩分の多い食べ物
- 糖分の多い食べ物
- 動物性脂肪の多い食べ物
- 刺激の強い食べ物
- 過度のアルコール
の5点です。
塩分の多い食べ物
発毛にはIGF-1というホルモンが必要なのですが、IGF-1の前駆物質であるCGRPという物質は、知覚神経が刺激されて放出される仕組みになっています。しかし塩分を過剰に摂りすぎる生活を続ければ、知覚神経を刺激し続けることになってしまい、CGRPが放出されすぎて枯渇してしまう可能性があるのです。
CGRPが枯渇されればIGF-1を作ることができなくなってしまうので、薄毛が進行してしまいます。
糖分の多い食べ物
糖分も塩分と同様に知覚神経を刺激しすぎてしまう作用があるので、CGRPの分泌過多・枯渇に繋がる恐れがあります。また糖分は体内で消化吸収される際に育毛に重要な栄養素・ビタミンB1を大量に消費するので摂りすぎには気を付けたいところです。
動物性脂肪の多い食べ物
動物性脂肪の多い食べ物についてです。肉類ばかり多く食べていると、皮脂分泌量が増加するのですが、頭皮も例外ではありません。頭皮の皮脂分泌量が増加して毛穴つまりを起こすと抜け毛に繋がってしまう恐れがあります。
また中性脂肪も増えて血行が悪くなることも、薄毛に繋がる原因のひとつです。
刺激の強い食べ物
刺激の強い食べ物には、スパイスや唐辛子といった香辛料やカフェインがあてはまります。香辛料には発汗作用がありますが、汗や皮脂は毛穴を詰まらせてしまうため、抜け毛につながってしまうのです。
ただし先ほどお話したように、適量であれば血行促進作用があるので問題はありません。
コーヒーや紅茶などに多く含まれるカフェインは、発毛を促進させるアデノシンの働きを抑制してしまうため、過剰摂取は控えましょう。
過度のアルコール
最後に過度のアルコールについてです。アルコールを飲むと肝臓でアセトアルデヒドという毒性の強い物質ができるのですが、このアセトアルデヒドが代謝される際、髪の育成に必要なアミノ酸やビタミンを大量に消費してしまうのです。
またアセトアルデヒドが血中に流れると、薄毛を促すホルモン・ジヒドロテストステロンを増加させてしまいます。
こんな食べ方はNG!
薄毛対策では食べ物の栄養だけでなく、寝る前の食事や外食中心の食事、食べ過ぎにも気をつける必要があります。髪の育成には成長ホルモンが重要ですが、このホルモンは睡眠中に最も活発に分泌され、さらに空腹状態の時により多く分泌されます。
そのため眠る直前に食事を摂って満腹状態で寝てしまうと、成長ホルモンが十分分泌されなくなってしまいます。もし眠る直前に薄毛に効果のある食べ物を摂取したといっても、これでは効果が半減するどころか悪影響になってしまいます。
仕事で忙しい人は食事を外で済ませるという方も多いかもしれませんが、外食だと野菜不足で肉食中心の食生活になってしまいがちです。するとビタミンやミネラル不足に陥ってしまい、頭皮に必要な栄養が届かなくなってしまいます。
また食べ過ぎは、悪玉コレステロール等を発生させて血流を滞らせてしまいます。これまでお話したように、血行は髪の毛の育成にとても深くかかわっているので、食べすぎると薄毛になる可能性があるのです。
薄毛対策に!毎日摂りたい食べ物とは?のまとめ
食事は私たちの生活に欠かせないものだからこそ、おざなりになってしまいがちですが、毎日の自分の口から摂っているものが自分自身を作るということを忘れてはいけません。食事バランスを見直すことで頭皮環境を良くすること、そして薄毛を予防改善することは十分できるので、毎日コツコツ挑戦してみてくださいね。