抜け毛は男性にとって宿命ともいえる症状です。年齢や遺伝によって避けることのできない抜け毛は、多くの日本人男性にとって大きな悩みとなっています。抜け毛は遺伝のほか生活習慣が引き金となって発生することもある症状です。もし抜け毛に悩んでいるなら、自身の生活の見直しと早目の対処を心がけましょう。
抜け毛の悩みはこんなに多い!
男性にとって抜け毛や薄毛の悩みは、なかなか人に打ち明けることができないものかもしれません。しかし、多くの男性にとって、抜け毛や薄毛は避けることのできない悩みであるようです。
実際、某大手発毛クリニックが20歳以上の男性を対象に実施したアンケート調査によると、薄毛を「非常に気にしている」「気にしている」と答えた男性の割合は全体の23%にも上り、実に4人に1人の男性が薄毛や抜け毛を気にしているということがわかりました。
さらにここへ、薄毛を「やや気にしている」人の割合も含めると、その割合は何と48.8%にもなります。これを日本人の男性人口「5,036万人」(総務省統計局)に当てはめて考えると、実に2,457万人もの男性が薄毛や抜け毛に悩んでいることになります。
これはつまり、日本人男性の約半数が薄毛や抜け毛の悩みを持っているということです。抜け毛や薄毛の悩みはまさに日本人男性にとっての国民病ともいえる症状なのではないでしょうか。
ただ、薄毛や抜け毛の悩みを持っていても、それに対して何の対策も取っていないという男性もまた少なくないようです。薄毛や抜け毛の原因は、確かに加齢や遺伝などもありますが、乱れた生活習慣が引き金になることもあります。
中には薄毛や抜け毛を恥ずかしいと考えて、したくてもなかなか対策できないという人もいるのではないでしょうか。しかし、薄毛や抜け毛対策は明日からでも十分に始めることができます。そのためにも、まずは抜け毛や薄毛の原因を知ることから始めてみてください。
抜け毛が起こるメカニズム
そもそも、髪の毛はどうして抜け落ちてしまうのでしょうか。それを知るために、まずは髪が生えてから抜けるまでのメカニズムを理解しておきましょう。
髪の毛というのは、人によってさまざまですが、男性であればだいたい10万本くらい生えているといわれています。ただ、どれほど正常な頭皮を持っている人でも、髪の毛は1日に約50本から100本ほど抜け落ちてしまいます。それでも正常な頭皮の人が薄毛にならないのは、抜け落ちた分だけまた生え変わっているからです。
髪の毛というのは絶えずこうした一種の新陳代謝を続けます。そしてこうしたメカニズムが正常に働くことによって、ほぼ10万本という毛量を常に保つことができるのです。
髪の毛にはヘアサイクルというものがあり、一本の髪の毛は発毛してから2年から7年ほどの期間で徐々に成長していきます。これは髪の毛の成長期と呼ばれ、髪が伸びる現象はこの成長期によるものです。
こうした成長期を終えると、次に髪の毛は退行期と呼ばれる期間に入ります。退行期は髪の毛の成長がおさまる期間で、だいたい2週間から3週間ほど続きます。
そして最後に休止期に入り、いつでも抜け落ちて良い状態が整うのです。つまり、正常な髪の毛は長ければ7年ほど生え続け、それから抜け落ちることになります。これを「正常脱毛」といいます。
一方、こうした髪の毛のサイクルが極端に短く、通常2年から7年ほどかけて成長する髪の毛が1年で退行期に入り、抜け落ちてしまう脱毛のことを「異常脱毛」といいます。そして、抜け毛や薄毛の悩みの多くは、この「異常脱毛」が原因になっていると考えられているのです。
良くある抜け毛の原因5つ
薄毛や抜け毛の悩みの主たる原因と考えられる「異常脱毛」は、
- ホルモンバランス
- 生活習慣
- 遺伝
など、さまざまな要因が引き金になって発生すると考えられます。
たとえば、抜け毛の原因として良く知られているのが男性ホルモンです。男性ホルモンは薄毛の遺伝子ともいわれ、このホルモンの分泌が盛んになることによって抜け毛が進行しやすくなるといわれています。
男性ホルモンであるテストステロンが男性らしい身体づくりに貢献する一方、髪の毛の成長を抑えて抜け毛の進行を早めてしまうと考えられているのです。
一方で、生活習慣も抜け毛の原因となり得ます。特に暴飲暴食などの悪い食生活は髪の毛の健康状態に大きな影響を与えかねません。髪の毛は頭皮から栄養を補給しますが、肉類や脂っこいものばかり食べていると、髪の毛が補給する栄養の質も変わってしまいます。
髪の毛を健康に保つためには、たんぱく質やミネラル、ビタミンなど栄養のバランスが重要ですが、そのバランスが偏ることで髪の毛の栄養状態が劣化し、その結果として抜け毛が発生してしまうというわけです。
また、同じ生活習慣の一環として、ストレスも抜け毛の原因になります。過度のストレスはホルモンバランスを乱す原因にもなり、また血管の収縮を招いて頭皮への栄養補給を阻害してしまうこともあるため、髪の毛にとっては注意が必要です。
もちろん、こうした後天的な要因だけでなく、先天的な遺伝によって抜け毛が発生しやすくなってしまうこともあります。抜け毛の原因はこのように人によってさまざま異なりまずが、もし抜け毛に悩んでいて何らかの対策を取りたいと考えているなら、まずは自分の生活習慣について見直してみることから始めてみると良いでしょう。
抜け毛は生活習慣の見直しが基本!
生活習慣の乱れはさまざまな健康不良を引き起こすものです。抜け毛もそうした健康不良の一種であることが多いため、抜け毛の症状を抑えるためにはやはり生活習慣の見直しは必須の項目といえるでしょう。
中でも、睡眠はとても大切な生活習慣です。睡眠習慣が乱れると、健康上の不具合を引き起こしやすくなりますが、抜け毛もその一つです。髪の毛は絶えず成長していますが、睡眠はその成長に深くかかわっています。髪の毛の成長に不可欠なのが成長ホルモンですが、成長ホルモンが活発に分泌されるのは夜の10時ごろから深夜2時くらいだといわれています。
この時間帯にしっかりと深い眠りにつくことが、髪の毛の成長促進に、ひいては抜け毛の防止につながります。
喫煙も見直したい生活習慣の一つです。男性ホルモンが抜け毛の原因になると述べましたが、喫煙をすると抜け毛の原因になる男性ホルモンの分泌が増加するといわれています。また、タバコに含まれるニコチンには血管の収縮作用があるといわれ、頭皮の血行不良にもつながりかねません。
抜け毛の改善のためにも、ぜひ喫煙習慣を見直してみましょう。
また喫煙だけでなく、飲酒も髪の毛にとって良くありません。特に過剰な飲酒は髪の毛の成長に欠かせないアミノ酸の欠乏を招きかねません。体内でアルコールを分解する際、アミノ酸が大量に消費されてしまうため、髪の毛の成長のためにも飲酒はできるだけ避けましょう。
髪の毛は頭皮から栄養を補給していますが、頭皮に栄養を送るのは血液が淀みなく循環しているからです。血行を良くすることが抜け毛の改善につながりますが、そのためにもタバコを避けるだけでなく、運動もきちんと行って健康的な生活を続けるように心がけましょう。
食生活の見直しで必要な栄養を摂ろう!
食生活の改善は健康への第一歩です。そして、それは抜け毛の防止、薄毛の改善のためにも欠かせません。髪の毛の健康を保つためには、頭皮にバランスの整った栄養を与えることが大切だからです。
まず髪の毛はたんぱく質でできています。そのため、髪の毛の健康を保つためにはたんぱく質の補給が何よりも欠かせません。加えて、そのたんぱく質を運ぶための糖分も重要です。糖分は栄養を運搬する燃料のような存在であるため、たんぱく質の栄養をしっかりと髪の毛に運ぶためにもきちんと糖分を摂取したいところです。
さらには、髪の毛の代謝の潤滑油になる補酵素ビタミンやミネラルなども不可欠な栄養素になります。要するに、髪の毛の健康を保つためには、こうした栄養素をバランスよく摂取することが大切だということです。
とりわけ食の欧米化が進んでいる現代においては、脂っこい食事を摂る機会が一昔前よりも増えてきています。脂分の多い食事や高カロリーの食べ物は、頭皮の脂分の分泌を促進し、髪の毛を脂っこい状態にしてしまいかねません。そうなると抜け毛の進行を早めてしまうことがあるので注意が必要です。
また動物性の食材は男性ホルモンの分泌を促進してしまうこともわかっています。一汁三菜を意識した食事などを心がけ、髪の毛の成長を促す食生活に意欲的に取り組んでみましょう。
ただ、食生活を正すのは時間と労力がかかるものです。忙しくて手が回らない人は、サプリメントで髪の毛に栄養を補給してみても良いでしょう。特に亜鉛は髪の毛の細胞再生に効果的だといわれています。サプリメントなどで栄養補給を考えるなら、亜鉛含有のものを選んでみるというのも一つの手でしょう。
シャンプーに注目して抜け毛を改善!
髪の毛の栄養補給は、食生活などの内側からだけでなく、外側からできるものもあります。中でも、シャンプーは髪の毛の健康促進に大きく寄与してくれる習慣です。ただ、一方で使用するシャンプーの種類や、シャンプーの仕方などによっては、かえって頭皮の状態を劣化させ、抜け毛を促進させてしまうこともあるので注意しなければなりません。
まず、抜け毛を防止するためには、普段から使っているシャンプーに注目してみてください。どのようなシャンプーを使っているでしょうか。
実はシャンプーの成分にはそれぞれ種類があり、アミノ酸系シャンプーやノンシリコンタイプのシャンプーなどさまざまです。ただ、この中で石油系のシャンプーを使っている場合、抜け毛の防止のためには見直すことをおすすめします。
シャンプーの目的は頭皮の脂汚れを落とし、正常に保つことにありますが、石油系のシャンプーは洗浄力が強すぎるため、頭皮に必要な油脂までをも除去してしまうことがあります。その結果、頭皮が乾燥しやすく、髪の毛にとって悪い環境を招きやすいのです。
特に地肌が弱い人は洗浄力の強い石油系シャンプーは刺激が強いので、頭皮に優しいタイプのシャンプーに変えてみると良いでしょう。
また、シャンプーの仕方にも注意を払いたいところです。頭を洗うときに爪を立ててゴシゴシと洗っていませんか?頭皮はデリケートな部位ですから、乱暴な洗い方をするとすぐに傷んでしまいます。シャンプーをするときは爪をたてず、指の腹でマッサージするように洗いましょう。
抜け毛が気になるなら、シャンプーと合わせて育毛剤を使用するのも一つの手です。基本的にシャンプー本体には育毛成分は含まれていないので、本格的に抜け毛対策をするなら育毛剤を頭皮に優しいシャンプーと併用して使ってみると良いでしょう。
頭皮マッサージでリフレッシュ!
抜け毛の原因の一つに、頭皮の血行不良があります。ストレスや喫煙、睡眠不足など、血行不良の原因は生活習慣の乱れによるところが大きいため、まずはこうした乱れを改善することが先決ですが、頭皮マッサージも頭皮の血行促進に効果的だといわれているので生活習慣の改善と合わせて実践したい取り組みの一つです。
まず、頭皮マッサージで大切なことは、頭全体の血行を良くするイメージを持つことです。薄毛が気になる箇所だけを重点的にマッサージするのではなく、頭皮全体の血行促進を念頭においたマッサージを意識して実践していきましょう。
まずは手のひらを側頭部に当てて、円を描くように揉んでください。特にこめかみの付近の生え際は、頭の血管の入り口をなす部分になっているため、ここを刺激することで頭皮全体の血行促進につながるといわれています。
手のひらで側頭部をマッサージしたら、次にこめかみに親指をあてて、5秒間ほど少し強めに押してみましょう。それから、今度は頭頂部のマッサージに移っていきます。頭のてっぺんを両手の中指を使って、同じように5秒間ほど強めに押します。
そして最後に、後頭部から頭頂部にかけて、すべての指を使いながら優しく揉み上げましょう。このように、頭皮マッサージは全体の血行を意識するとより高い効果を期待できます。ただ、頭皮は皮が薄く、非常にデリケートな部位でもあります。
マッサージのし過ぎはかえって頭皮を傷めてしまうことにもなりかねないので、やり過ぎにはくれぐれも注意してください。頭皮マッサージはリフレッシュのために、深呼吸をしながら15分程度の短い時間で行うのがおすすめです。
抜け毛で悩み過ぎは悪化することも
抜け毛は悩めば悩むほど症状が進行してしまうことがあります。ストレスも抜け毛の一因になりますが、抜け毛の悩みがストレスにつながり、それが抜け毛の進行を早めてしまうことがあるのです。だからこそ、できるだけ早めに対策に乗り出すことをおすすめします。
いつまでも悩んでいるだけで、何も行動しないと抜け毛はどんどん進行してしまうものです。まずは前向きな気持ちになって、食生活の改善やシャンプーの見直しなど、できることから始めてみてください。
抜け毛の悩みは国民病!?抜け毛の原因と対策のまとめ
健康な人でも髪の毛は1日に100本も抜け落ちています。シャンプーしたあとの排水溝を見て、気が滅入ってしまうこともあるかもしれませんが、それをあまり不安に思わずリラックスした状態で抜け毛対策を実践してみてください。