「睡眠が浅い」という悩みを抱えている方がいらっしゃいます。眠りが浅ければ疲れが取れません。そうなれば日中の仕事や家事、勉強などのパフォーマンスに影響が出ます。
疲れがきちんと取れるような質の高い睡眠を得るためには、眠りが浅くなる原因や改善法を知っておく必要があります。
そこで、この記事では、眠りが浅い人の特徴、眠りが浅くなる原因、浅い眠りを改善する方法を紹介します。
「眠りが浅い」というお悩みがある方は、この記事を参考にしてください。
そもそも「眠りが浅い」とはどんな状態?
「眠りが浅い」とは睡眠時間を十分取っているのに、目覚めが悪い、もっと寝ていたい、疲れが取れていないといった状態です。
睡眠は、睡眠脳波で判別すると、ノンレム睡眠(non-REM sleep)とレム睡眠(REM sleep)という質的に異なる2つの睡眠段階に分類されます。
ノンレム睡眠は、睡眠の深さにしたがってさらに4段階に分けられます。
睡眠脳波検査で測定すると、睡眠は深いノンレム睡眠(段階3と4)から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて徐々に浅いノンレム睡眠(段階1と2)が増えるというパターンを示すそうです。
その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に1回ごとのレム睡眠時間が増加してゆきます。
※出典:e-ヘルスネット
「眠りが浅い」と感じる方の睡眠は、深いノンレム睡眠の段階3と4が短い、もしくはノンレム睡眠が短くレム睡眠が長いと考えられます。
「眠りが浅い」人の特徴
眠りが浅い人は以下の特徴があります。該当するものがあれば眠りが浅いことが原因かもしれません。
- 睡眠時間を十分取っているのに疲れが取れない
- 日中のパフォーマンスが上がらない
- 感情の起伏が激しい
睡眠時間を十分取っているのに疲れが取れない
眠りが浅い人は、睡眠時間が十分であるにもかかわらず、熟睡できていないので疲れが取れず、朝スッキリ目覚めることができない、疲れが残っていると感じる傾向があります。
睡眠の効果は、体と脳の休養、疲労回復、免疫機能の増加、記憶の固定、感情整理などです。
たとえば、深いノンレム睡眠のときに、成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンの分泌はノンレム睡眠後30分で最大となり、時間帯では午後10時から午前2時に最大になるとされています。
成長ホルモンは子供では成長を促しますが、大人の場合は日中の心身の疲れ、組織の修復、ストレスからの解放、老化の進行抑制といった働きと関係があります。
眠りが浅いとこうした効果を十分に得ることができないので、朝スッキリ目覚めることができない、寝た後でも疲労感が残っているというわけです。
日中のパフォーマンスが上がらない
眠りが浅い人は、日中に眠気が襲ってくるので、集中力や注意力、やる気の低下が起こり仕事や家事、勉強などのパフォーマンスに影響が及びます。
集中力が持続しない、仕事でのミスが増える、仕事や家事の作業時間が以前よりも増えているという方は浅い眠りが原因でパフォーマンスが低下しているかもしれません。
感情の起伏が激しい
眠りが浅く睡眠不足になれば、脳の感情をコントロールする働きが低下します。その結果些細なことで怒るようになる、抑うつ的になる、ネガティブな感情に敏感になることがあります。
また、睡眠不足により、ストレスに対抗し心を守る成長ホルモンの分泌低下が起こるので、ストレスに弱くなる傾向が生じます。
ストレスが蓄積されると、今度はそれが睡眠不足の原因とあり、睡眠不足とストレスによる悪循環を引き起こすことになるでしょう。
※出典:新潟ウェルネス 一般社団法人 新潟県労働衛生医学協会
「眠りが浅い」原因
眠りが浅くなる原因には以下のものがあります。眠りが浅いという自覚症状のある方は、該当するものがあるかどうか確認してください。
- 病気
- ストレス
- 生活習慣や環境
病気
病気にも体の病気・心の病気があります。さらに睡眠に直接関係する睡眠障害も浅い眠りの原因となります。
具体的にどのような病気が浅い眠りの原因となるのかを紹介しましょう。
体の病気
浅い眠りといった不眠の原因となる体の病気の例には以下のものがあります。
- 高血圧や心臓病
- 呼吸器疾患
- 腎臓病
- 前立腺肥大
- 糖尿病
- 関節リウマチ
- アレルギー疾患
- 脳梗塞や脳出血など
高血圧や心臓病の持病があれば寝ている間に胸が苦しくてあまり眠れないということがあります。
喘息などの呼吸器疾患があれば咳や発作、腎臓病や前立腺肥大では夜間頻繁にトイレに行くことが眠りを浅くする原因になるでしょう。
関節リウマチの痛み、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患によるかゆみも眠りを妨げることがあります。
こうした病気が理由で眠りが浅いのであれば、不眠そのものより、背後にある病気の治療が先決です。
原因となっている症状がなくなれば、良く眠れるようになるでしょう。
※出典:e-ヘルスネット
心の病気
うつ病などの心の病気は浅い眠りなどの不眠を伴います。
近年では、単なる不眠だと思っていたら実はうつ病だったというケースも少なくありません。
不眠症状や過眠症状とともに、気分の落ち込み、何事にもやる気が出ないという意欲減退、自分の好きなことや趣味に興味がわかないといった症状がみられる場合には早めに専門医を受診することをおすすめします。
※出典:e-ヘルスネット
その他の睡眠障害
眠りが浅いのは、睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)、周期性四肢運動障害といった病気が原因という場合があります。
睡眠中に呼吸異常や四肢の異常運動が出現するため睡眠が妨げられ、夜間の不眠や日中の過眠が生じます。
※出典:e-ヘルスネット
ストレス
過度のストレスも眠りが浅い原因となります。
長時間ストレスを感じたり、強いストレスを感じると、ストレスに対する心身の防衛反応として、交換神経系と呼ばれる自律神経や副腎皮質ホルモンなどを分泌する内分泌系の活動が活発になります。
ストレスに対し、体は防御のために「闘うか逃げるか」の戦闘態勢を整えるわけですが、この時期には、アドレナリンが分泌され、交感神経系の活動が活発になり、覚醒や活動水準が高くなります。
さらに、ストレスに抵抗するため、副腎皮質ホルモンなどが分泌され身体の抵抗力が高まります。この時期は心身の活動が活発になるので、活動と休息のバランスが崩れやすいです。
それが結果として不安やイライラ、拒食や過食、睡眠障害などの原因となります。
※出典:文部科学省
生活習慣や環境
私たちが普段の生活で口にしているもの、生活環境が浅い眠りの原因となっている場合があります。
たとえば、服用している薬が不眠の原因となることがあります。睡眠を妨げる可能性がある薬としては、甲状腺製剤・抗がん剤・降圧剤などが挙げられます。
抗ヒスタミン薬も日中の眠気を引き起こすので、それが夜間の眠りの浅さにつながるかもしれません。
コーヒーや紅茶を頻繁に飲む習慣があるなら、それらに含まれるカフェイン、喫煙の習慣があるならニコチンなどは覚醒作用があるので、入眠の妨げになります。
さらに、カフェインには利尿作用もあるので、夜間に何度もトイレに行けば眠りが浅くなるでしょう。
他にも、就寝前にスマホを見る習慣があるなら、脳がスマホの光により昼間だと勘違いし、交感神経が優位になるので入眠できないということが起こります。
寝具が体に合わない、寝室の温度や湿度が適切に管理されていない、近所の騒音なども浅い眠りの原因となります。
※出典:e-ヘルスネット
質の高い睡眠を得るための方法
「眠りが浅い」という悩みがある方は、生活習慣や睡眠環境の改善を意識することで、質の高い睡眠を得ることができるでしょう。
具体的な方法には以下のものがあります。
- 起床後に太陽光を浴びる
- 寝る前には食事をしない
- 昼寝を活用する
- ストレス解消法を持つ
- 運動の習慣を持つ
- 入浴は就寝の2~3時間前
- よく眠れる寝具を選ぶ
- 寝室の環境を整える
起床後に太陽光を浴びる
質の高い睡眠を得るためのポイントは、起床後に太陽光を浴びることです。
朝起きたらすぐに窓際で太陽光を浴びる、通勤・通学の時間などを利用して太陽光を浴びるなどの工夫ができるでしょう。
網膜から入った外界の光刺激は、睡眠を誘発するメラトニンの分泌を抑制する効果があるからです。
※出典:e-ヘルスネット
さらに、太陽光には体内時計をリセットする働きがあります。人の体内時計の周期は約25時間で、地球の周期とは約1時間のずれがあります。
起床後に太陽光を浴びることで、体内時計のずれを修正でき夜寝つく時間が早くなり、次の日の朝も早く起きられるようになります。
逆に、夜に強い照明を浴びすぎると、体内時計が遅れて早起きが辛くなります。
寝る前に食事はしない
寝る前に食事をすれば消化活動で入眠が妨げられるので控えてください。
アルコールは入眠を一時的には促進しますが、中途覚醒が増えて睡眠が浅くなる原因となります。眠りが浅いという悩みがあるなら寝酒はおすすめできません。
寝る前にカフェインを含む飲み物や食べ物を摂取することも眠りが浅くなる原因になります。
カフェインの覚醒作用は約3時間程度持続するといわれているので、寝る3~4時間前はカフェインの摂取を控えた方が良いでしょう。
さらに、カフェインは利尿作用もあるので、夜中に尿意で目が覚める原因にもなります。
カフェインが含まれるものは、コーヒーや緑茶、紅茶、ココア、栄養ドリンク剤、チョコレートなどです。
昼寝を活用する
眠りが浅いので午後に眠気があるという方には昼寝がおすすめです。
15分程度の昼寝は、午後からの眠気を解消し活力を与えてくれます。高齢者でも30分程度の昼寝を上手に活用すれば、夕方のうたた寝が減少し、夜によく眠れるようになります。
※出典:e-ヘルスネット
ストレス解消法を持つ
ストレスは眠りを浅くする原因の1つでした。
したがって、自分なりのストレス解消法を持つことは質の高い眠りを得ることにつながります。
動画視聴・音楽・読書・スポーツ・旅行など自分にあった趣味やストレス解消法を見つけて上手に気分転換してください。
運動の習慣を持つ
適度な運動の習慣は入眠を促進し、中途覚醒を減少させることにつながります。
ウォーキングや軽いランニングといった負担にならない程度の有酸素運動ががおすすめです。
激しい運動は交感神経を興奮させてむしろ寝つきを悪くするので逆効果になります。
いつ運動するのが効果的
質の高い睡眠を得るためには、午前ではなく午後、できれば寝る3時間前の夕方や夜に運動するのがおすすめです。
睡眠には、人の体温が関係しています。
体温は体の表面の「皮膚体温」と、脳や内臓など体の内部の「深部体温」の2種類です。
日中の深部体温は皮膚の温度より3~5度高く、体内時計と連動し夜9時くらいをピークに低下します。
そして、皮膚体温と深部体温の差が小さくなれば眠たくなり、眠るときには手足から熱を放出して深部体温を下げます。
夕方に運動で深部体温を上げておけば、その後、深部温度が徐々に下がってふさわしい時間に眠気がやってくるようになるでしょう。
一方、就寝前の運動は深部体温が上昇したままになり、入眠を妨げるのでおすすめできません。
入浴は就寝の2~3時間前
皮膚体温と深部体温の差が小さくなれば眠たくなるので、入浴は就寝の2~3時間前にするのがおすすめです。
深部温度を一時的に上げて、ふさわしい時間に寝れるようにするために、以下の入浴法を試せるでしょう。
- 38度のぬるま湯で25分~30分入浴
- 42度の熱めのお湯で5分程度の入浴
- 40度のお湯で半身浴
※出典:e-ヘルスネット
自分の好みや体調に合わせた入浴方法を探してください。
よく眠れる寝具を選ぶ
寝ている間に体は発汗しているので寝具選びも大切です。
吸湿・放湿性の高いもの、冬場であれば保温性の高い寝具を選べるでしょう。
敷布団やマットは適度に硬く身体が沈み込み過ぎないもの、掛布団は身体にフィットして軽いものを選ぶことができます。
枕は首や肩への負担が少ない硬さや高さで、安定感があるものを選んでください。
寝室の環境を整える
睡眠のための適温は20℃前後で、湿度は40~70%くらいに保つのがよいといわれています。
温度や湿度の調整は寝るときではなく、寝る少し前におこなうのがおすすめです。
また睡眠を邪魔するスマホの光や音を遠ざける工夫をするこもできます。
睡眠が浅い状態とは?改善し日中のパフォーマンスを上げる方法!のまとめ
この記事では「眠りが浅い」という人の持つ特徴、眠りが浅くなる原因、質の高い睡眠を得る方法を紹介しました。
睡眠の質を改善するために、生活習慣の見直し、運動の習慣を身に付けることができます。
質の高い睡眠が取れれば、日中のパフォーマンスもアップするので、活動的に毎日を過ごせるでしょう。