ハゲ、その響きに恐怖を感じる男性は多いと思います。確かに、自分がハゲることに対して抵抗がないという人も中にはいます。しかし、できればハゲたくないと考えている人は多いことでしょう。ハゲないためには事前にハゲの種類を知って症状に適した正しい予防をしておくことが大切です。そこでハゲの種類とそれぞれにおける予防法についてご案内します。
メディアでも話題!AGA
「AGA(エージーエー)」という言葉をテレビなどのメディアで耳にしたことがあるという人もいるかもしれません。
AGAとは「男性型脱毛症」のことで「Androgenetic Alopecia」を略して付けられた名前です。成人男性に多い脱毛症で、一般的には30代から50代の男性に発症しやすい症状といわれています。
ただし、30代から50代の男性だけに限定して見られる症状というわけではなく、
- 女性でも発症したり
- 20代でも発症したり
する例も増えているのです。女性が発症した場合には男性と分けるために、「女性男性型脱毛症」と呼ぶこともあります。
男性のAGAの場合、具体的には
- 額の生え際
- 頭頂部の髪の毛
が薄くなるという症状が見られることが一般的です。症状は額の生え際と頭頂部のどちらか一方だけに見られる場合もありますし、両方に出るケースもあります。
AGAは進行性の脱毛症です。このため、そのまま放置しておくと毛がどんどんと抜けていき、薄毛の箇所が増えていきます。ただし、ハゲてしまっても完全に毛がなくなってしまっているわけではなく、うぶ毛は残り、毛包は生き続けているというのがAGAの特徴です。
AGAは多くの場合、遺伝もしくは男性ホルモンの影響が原因であると言われています。
若くても油断できない!若年性脱毛症
「若ハゲ」と呼ばれることもある若い世代が発症する脱毛症が「若年性脱毛症」です。
ハゲるというと加齢とともに起きる症状というイメージを持っている人も少なくありません。しかし、ハゲは10代や20代、30代といった若い年齢でも起こる可能性のある症状なのです。
一般的にハゲやすいイメージの強い30代後半から50代にかけての脱毛症は「壮年性脱毛症」と呼ばれていますが、壮年性脱毛症も若年性脱毛症も共にAGAです。発症する時期が若い世代であるのか中年であるのかによって、種類分けするために呼び分けられています。
若年性脱毛症は基本的にAGAであるため、一般的にはAGAの症状と同じです。具体的には額の生え際や頭頂部が薄くなっていくといったものが挙げられ、男性に限らず女性でもなる可能性はあります。
若年性脱毛症の原因として言われているものは一般的に
- 男性ホルモンによる遺伝
- ストレス
- 不規則な生活習慣
といったものです。
不規則な生活習慣とは、たとえば十分な睡眠がとれていないことや食生活に偏りがあることなどが挙げられます。そのほかにも、人によっては病気が原因で若年性脱毛症になってしまうといったケースもあるのです。
毛穴を塞いでしまう!ひこう性脱毛症
ハゲの中にはフケが原因で起こる脱毛症もあります。それが「ひこう性脱毛症」です。ひこう性脱毛症はフケが大量に発生することにより頭皮に炎症が生じるといった症状が見らます。
炎症が生じることで毛髪が健康的に育たなくなり、ハゲてしまうのです。フケは新陳代謝により頭皮の角質がはがれることでできるものです。このため、健康な頭皮を持った人でも発生します。
しかし、ひこう性脱毛症の場合には目で見て目立つほどにたくさんのフケが出るという点が特徴的です。大量のフケが生じると頭皮の上に積もり、毛穴を塞いでしまうことで雑菌が繁殖してしまいます。毛穴からは体内で不要となった老廃物や皮脂が排出されています。
このため、排出口が塞がれてしまうと常在菌も加わって繁殖しやすくなり、その後炎症が起きてしまうのです。さらに炎症が悪化すると湿疹となって強いかゆみを感じるようになることもあります。
ひこう性脱毛症の原因と言われているのが、
- 髪を洗う際に使用したシャンプーやコンディショナーの洗い流し残し
- 過度の洗髪といった間違ったヘアケア
です。
- 頭皮が傷み皮膚のバリア機能が十分に働かなくなったり
- 皮脂が取り除かれすぎて乾燥しやすくなってしまったり
といったことがフケの発生につながる原因と考えられています。
また、他にも言われている原因のひとつがホルモンバランスの乱れです。ホルモンバランスが乱れてしまうと皮脂が過剰に分泌されます。分泌した皮脂が出る毛穴が塞がれていると菌が繁殖し、炎症の原因となってしまうのです。
炎症を起こすことも!脂漏性脱毛症
頭皮が炎症を起こすことで頭髪が薄くなる脱毛症には、ひこう性脱毛症のほかにも「脂漏性脱毛症」という種類もあります。どちらも頭皮に炎症がおきて髪の毛の育成が妨げられることにより生じる脱毛症です。
しかし、脂漏性脱毛症とひこう性脱毛症の間には炎症の原因に違いがあります。フケが毛穴を塞ぐことが原因となるひこう性脱毛症に対して、脂漏性脱毛症の炎症の原因は脂漏性皮膚炎です。
脂漏性皮膚炎は皮脂を栄養分とするマラセチア真菌という常在菌が過剰に増殖し、頭皮に刺激を与えることによって起こります。かゆみが生じたり、フケが多く出たりといった症状が見られます。
- 髪を十分に洗えていなかったり
- すすぎが不足していたり
すると頭皮に皮脂が残ってしまい、皮脂というエサが増えたマラセチア真菌の増殖が活発になって起こるのです。
また、睡眠不足やストレスなどによりホルモンのバランスが崩れたときにも皮脂の分泌は増え、マラセチア真菌の増殖につながります。ほかにも脂分の多い食事を過剰に取ったり、肥満体質であったりする場合でも皮脂量が増え脂漏性皮膚炎が起こりやすくなるのです。
気づくのが遅い場合も… 円形脱毛症
少しずつ薄くなっていく脱毛症に悩む人もいますが、ある日突然、自分の頭にハゲが見つかり戸惑うケースもあります。それが「円形脱毛症」です。円形脱毛症は円や楕円の形でハゲができてしまう症状をいいます。
10円玉くらいのサイズである場合もあれば、頭髪全体に脱毛症状が出ることもあります。また、ハゲがひとつだけできることもあれば、複数箇所できることもあるのです。重症になると頭髪だけではなく、眉毛やまつ毛、脇毛といった体毛にも脱毛の症状が出るケースもあります。
円形脱毛症の原因と考えられているもののひとつが精神的なストレスです。ストレスを受けると体が活動したときに働く交感神経が活発に動き出します。しかしストレスを過剰に受け続けることで、交感神経が正常に働かなくなってしまうことがあるのです。
交感神経の働きが悪くなると体内の血流が滞ってしまいます。すると頭部への血流も悪くなるため、髪の毛根に栄養が行きわたらなくなり、毛の育成が悪くなってしまうのです。
また、アトピー性疾患が原因となるケースもあります。本人に疾患がある場合だけではなく、家族がアトピー性疾患であるという場合でも円形脱毛症になることもあります。
そしてさらに原因のひとつとして挙げられているのが免疫異常です。体の免疫機能は外部から侵入しようとする異物に対して体を守るために攻撃を与えます。しかし免疫が正常に働かなくなることで毛根を異物とみなして誤って攻撃をしてしまう場合があるのです。攻撃を受けた毛根はダメージを受けることにより毛を育成させる力が弱まってしまいます。そして、既に生えている毛までもが抜け落ちてしまったりするのです。
要注意!ハゲになりやすい人の特徴
ハゲてしまう人は必ずしも同じことが原因であるわけではありません。しかし、趣味嗜好に共通して多く見られる点もあります。
たとえば喫煙です。
タバコにはニコチンという有毒物質が含まれています。喫煙により体内にニコチンが入るとニコチンを除去するために活性酸素が発生します。発生した活性酸素は体内のビタミンCを消費しますが、ビタミンCが減少してしまうと同時にビタミンEを十分に吸収することもできなくなってしまうのです。
これはビタミンCがビタミンEの吸収を助ける働きをしていることが理由です。ビタミンEは健康に毛髪が育成されるために重要な栄養素となっています。吸収の助けを失ったビタミンEの減少により、タバコを吸いすぎるとハゲやすくなってしまうのです。
そして、ニコチンには毛細血管を収縮させる作用があります。毛細血管が収縮すると血液の通り道が狭くなり血行が悪くなってしまうため、頭皮に栄養が行き届かなくなって抜け毛が起こりやすくなってしまうのです。
またストレスが多い生活を送っている人にもハゲやすい傾向が見られます。ストレスが続くと、喫煙と同様に体内の血行が滞ってしまいます。そして、頭皮に栄養が行き届かなくなって毛の成長が悪くなるってしまうのです。
さらに、血縁者にハゲている人がいる場合には同じ症状になりやすくなっています。明確な原因はわかっていませんが、さまざまな医学的データにより遺伝とハゲに何かしらの関わりがあると言われているのです。
生活習慣の見直しでハゲを予防
ハゲを予防したいと考えた時に、毎日の生活習慣を見直すことが良い手段となることがあります。具体的には、たとえばストレスを溜めすぎないように心がけることです。適度な運動や好きな趣味などで定期的にストレスを解消しておくというのも良い方法でしょう。
また、適切な睡眠時間を確保することも大切な予防法です。十分な睡眠をとって体をリセットさせることは、ハゲの原因のひとつでもあるストレスを解消させることにもつながります。
睡眠が不足すると健康な毛の育成に必要な栄養をしっかりと運ぶスムーズな血流が滞ってしまうことも、十分な睡眠が必要と言われる理由です。
さらに喫煙だけではなく、過度の飲酒を控えることも大切な予防策となります。アルコールを分解する肝臓はタンパク質が合成される場所です。アルコールを大量に飲むと肝臓はアルコールを分解することだけで手一杯になり、タンパク質の合成にまで手が届かなくなってしまいます。
タンパク質の一種は髪の毛の原料となっているため、毛髪の生育に影響を与えてしまうのです。
栄養をしっかり摂ってハゲ予防
ハゲを予防するためには、毎日食べる食事にも気を付けることが大切となります。髪の毛の成長に必要となる栄養を十分に摂取できていないことがハゲの原因となるケースもあるからです。
たとえば、タンパク質です。タンパク質の一種は髪の毛の原料となっています。また、ミネラルも重要です。ミネラルは育毛にとって欠かすことができない栄養素で、不足すると頭皮の代謝が悪くなり、毛の生育が滞ってハゲの要因になることがあります。
またビタミンもハゲの予防に良いとされる栄養素のひとつです。さまざまな種類があるビタミンですが、特に血流を良くするビタミンEと、ビタミンEの吸収を助けるビタミンCの摂取は有効的です。
ビタミンCには抗酸化作用があり皮膚の老化を防ぐ働きがあることから
- 頭皮
- 毛髪を作る毛母細胞
の加齢による衰えを防いでくれるという効果にも期待が持てます。さらに代謝を促進し毛母細胞の働きを活性化させるビタミンB群もハゲ予防にとって必須の栄養素のひとつです。
頭皮環境の改善でハゲ予防
頭皮を清潔にし正しくケアすることは、健康な髪の生育にとって大切なポイントです。たとえば日常的に行う洗髪では正しい方法でシャンプーをする必要があります。
シャンプーをする際には、最初に髪を洗いやすくし汚れ落ちをスムーズにするためにブラッシングをして髪のもつれを解いておきましょう。ブラッシングは頭皮の血行の促進にも効果的です。
次に頭皮へダメージを与えない程度のぬるいお湯で頭皮を洗います。温度は38度前後が目安です。そしてお湯で洗ったら十分に泡立てたシャンプーで洗髪します。洗髪する際には頭皮を傷つけないように爪を立てずに指の腹を使って汚れを落とすようにしましょう。
最後にシャンプーや洗い落とした汚れが頭髪に残らないように念入りに洗い落とすことが必要です。
また、血行を良くする育毛剤を使用することもハゲを予防するための方法のひとつとなります。ただし、育毛剤は頭皮が乾いている状態で使いましょう。育毛剤を清潔な頭皮に付けることが効果を上げるためのポイントとなるため、入浴後に付けることは良い方法です。
しかし髪が充分に乾ききっておらず頭皮が蒸れていると育毛剤の効果が薄れてしまったり、雑菌が繁殖して逆にハゲの原因となってしまうので気を付けましょう。
どんなハゲの種類でも予防できる!
ハゲの原因や症状にはさまざまな種類がありますが、早めに対策をとっておくことによりどの種類のハゲでも予防することは可能となります。ハゲになりやすい人に多く見られるような趣味嗜好を行うことを抑制したり、生活習慣や頭皮の環境の改善に努めたり、頭皮や頭髪に良い栄養を意識的にとる食事に変えてみたりといった身近なことへのケアからハゲを防ぐことができる場合もあるのです。
ハゲの種類を徹底網羅!あなたはどのタイプ?のまとめ
病気と同様に、ハゲも初期であればあるほど、悪化することを防ぎ、改善しやすくなります。ハゲへの不安や悩みを感じている人はできるだけ早めに予防への行動を起こしておくと安心です。