薄毛の原因はいくつか挙げられますが、食べ物もその一つです。髪にとって悪い影響を及ぼす食事もあれば、薄毛予防に効果的な食べ物もあります。そこで、発毛や育毛に良い栄養素を含んだ食べ物、簡単なレシピについて解説します。髪に良い食生活を心がけることで薄毛予防につなげてください。
薄毛と栄養素は関係あるの?
健全な食生活は、身体の機能を正常に保つための必要な栄養素を得る上で大切なことです。さまざまな食べ物を適度な量でバランスよく食べることで、体調維持や病気の予防につながります。もちろん、薄毛予防にも食べ物は大きく影響しているのです。
薄毛の予防で気をつけたいことのひとつに、頭皮の健康を保つことがあげられます。髪は毛周期といって、一定のサイクルで生え替わりを繰り返すことで一定の毛量を保っています。抜けてしまっても次に新しい髪が生えてくるのが正常な状態です。
しかしこのサイクルが乱れてしまうと、髪が抜けやすくなるだけでなく生えにくい状況に陥ります。これが一般的に薄毛と呼ばれているものです。
毛周期のサイクルが乱れてしまう原因のひとつに頭皮の状況の悪化が考えられます。髪が抜けやすくなったり生えにくくなったりするのは、頭皮に必要な栄養素が不足することで起こりがちです。頭皮には血液によって栄養素や酸素が運ばれています。
頭皮の毛穴にある毛乳頭から栄養素と酸素が吸収されると、それを受け取った毛母細胞が活発に細胞分裂を繰り返すことで髪が生成されていきます。しかし、頭皮の血行が悪い状態になり必要な栄養素が頭皮に届かなくなれば、毛母細胞が正常に細胞分裂することができなくなるのです。
薄毛が気になる人は、食べ物から十分な栄養素が摂取できていない可能性も考えられます。普段何気なく食べている食事でも、実は髪の健康を損なう習慣になっているかもしれません。外食で好きなものだけ食べ続けていないか、インスタント食品だけで済ませていないか考えてみましょう。
外食やインスタント食品が髪に良くないということではありません。バランスを考えたメニューを提供する飲食店はたくさんあります。インスタント食品で一般的に用いられるフリーズドライ製法は、食べ物の栄養素を壊さないために熱を加えない工夫がされているものです。
しかし、1品で満腹になるものが多く、それだけで済ませてしまうと栄養素の偏りが心配されます。外食やインスタント食品を摂る場合は、頻度や全体の栄養バランスを考えましょう。
薄毛予防に必須!タンパク質・亜鉛・ビタミン
薄毛の予防に必要な栄養素について解説しましょう。髪を作り、正常な毛周期を維持するために欠かせないのが「タンパク質」「亜鉛」「ビタミン」です。この3つを摂取することは薄毛予防に必須条件といっても過言ではありません。そしてバランスが重要です。どれかが不足したり摂取過剰になったりしても十分な力は発揮できません。
タンパク質
タンパク質は髪の成分のおよそ90%を占めるもので、その主な原料はアミノ酸でできています。アミノ酸がつながった状態になったものがタンパク質です。アミノ酸にはいくつかの種類がありますが、人体に必要なものは20種類といわれています。
そのうちおよそ9種類のアミノ酸は体内で作ることができません。そのため食べ物として摂取することが必要です。これを「必須アミノ酸」といいます。
髪の成分となるタンパク質は、肉類や魚、乳製品などに多く含まれています。他には豆類、卵、そして果物からも摂取できます。これらの中で特にタンパク質の含有率が高いものをいくつかあげてみましょう。
肉類・肉の加工品として
- 牛肉
- 鶏肉
- 豚肉
- 生ハム
魚介類として
- イクラ
- アジ
- マグロ
- カツオ
- サンマ
- イカ
- タラコ
- ウナギ
- シラス干し
大豆製品、乳製品に
- 高野豆腐
- 湯葉
- パルメザンチーズ
があります。タンパク質の多い肉類などの動物性タンパク質は「完全タンパク質」と呼ばれています。豆類以外の野菜には全体的にタンパク質の含有率が低い傾向にありますが、これらの植物性タンパク質は「不完全タンパク質」と表現されています。
まったく含まれていないということではありませんが、効率よく摂取したい時には肉類や魚類の動物性タンパク質を中心に食べるのが理想的です。例えば、高齢者や病人など体力が弱っていて少量の食事しかできないような場合には、野菜より肉類や魚類を優先的に摂る方が良いといわれています。
タンパク質は髪以外にも皮膚や筋肉、爪など人体に必要な組織を作る上で積極的に摂りたい栄養素です。
亜鉛
このタンパク質を髪の毛に変える機能をするのが亜鉛です。その他にも、亜鉛は細胞の修復や免疫力を高めてくれる働きがあります。亜鉛が不足するとタンパク質を髪の毛に変えることができないので、脱毛症の原因になります。せっかくタンパク質を摂取しても、亜鉛が不足していてはまったく意味がないわけです。
他にも、亜鉛不足になると味覚障害や皮膚炎を起こしやすいといわれています。頭皮の健康を考えても亜鉛は重要といえるでしょう。
亜鉛を多く含む食べ物には、魚介類や肉類、種実などがあります。亜鉛はミネラルのひとつで、薄毛に悩む人の中にはサプリメントで不足を補う人もいます。亜鉛が多く含まれているのは主にこんな食べ物です。
肉類・肉の加工品として
- 牛肉
- ささみ
- レバー
魚介類には
- サンマ
- ウナギ
- タラコ
- カキ
- ホタテ
植物性のものとして
- 高野豆腐
- 黒米
- アルファルファ
- カシューナッツ
- アーモンド
等が挙げられます。
どの食べ物にも言えることですが、集中して過剰に摂取すると必要な栄養素でも健康を損ねてしまうので、適度な量を心がけましょう。亜鉛を過剰に摂ると、嘔吐やめまい、胃痛といった症状が出る場合もあります。
もちろん、適度な量で通常の食べ方をしていれば心配はないでしょう。極端に偏った食生活や、必要量を超えたサプリの摂取には気をつけてください。
ビタミン
そしてビタミンは、タンパク質と亜鉛の吸収を助けてくれる役割をします。ビタミンは体内で作れないものばかりなので、積極的に摂取したい栄養素です。ビタミンの中でも「ビタミンA」「ビタミンB群」「ビタミンC」そして「ビタミンB7」は髪に良い影響を与えてくれます。
「ビタミンB7」は「ビオチン」または「ビタミンH」とも呼ばれています。
タンパク質と亜鉛を効果的に吸収してくれるビタミンは、体内で生成できない、もしくはごくわずかしか生成できないので意識して摂りたい栄養素といえます。ビタミンを含む主な食べ物は次のものがあります。
ビタミンAは
- レバー
- 卵
- 緑黄色野菜
などに含まれています。
ビタミンAは新陳代謝を促進する働きのある栄養素です。粘膜の保護もしてくれるもので、皮膚の乾燥を防いでくれる役割を果たしてくれます。ただし、摂りすぎてしまうと抜け毛につながることもあるので適度な摂取を心がけましょう。
ビタミンB群は
- 肉類
- レバー
- 卵
- 牛乳
- チーズ
- 魚類
- 海藻
- 豆類
- ナッツ類
- 玄米
- 緑黄色野菜
など、動物性・植物性を問わず幅広い食材に含まれています。
ビタミンB群は血行の促進や細胞の代謝を助けてくれます。皮脂の分泌をコントロールしてくれる役割もあるので、頭皮にも良い働きが期待できる栄養素です。
ビタミンCは、
- ピーマン
- モロヘイヤ
- パセリ
- ブロッコリー
- ゴーヤ
- カリフラワー
- ケール
- 芽キャベツ
などの野菜類のほか
- オレンジ
- ゆず
- レモン
- イチゴ
など、果物に多く含まれています。
ビタミンCは鉄分の吸収を助けてくれるもので、コラーゲンの生成にも必要なビタミンとして知られています。タンパク質の生成にも効果を発揮してくれます。また、抗酸化作用で活性酸素から守ってくれるので適度に摂取しましょう。
ビタミンB7・ビオチンは
- 鶏レバー
- 卵黄
- イワシ
- ピーナッツ
- クルミ
- きな粉
に含まれています。
ビタミンB7もビタミンC同様、コラーゲンの生成をサポートしてくれます。ビタミンB群として分類されるものですが、白髪予防をはじめ髪の健康維持に必要な栄養素のひとつです。ビタミンB7が不足すると脱毛症や白髪の原因につながりやすくなります。
血行促進にカプサイシンも摂ろう
薄毛予防には髪に必要な栄養素をしっかり摂ることが大切で、タンパク質や亜鉛、ビタミンを含む食べ物が髪に良いということは分かったでしょうか。しかし、栄養素や酸素を運んでくれる血液が正常に循環してくれなければ、せっかくこれらの食べ物を摂っても十分とはいえません。
薄毛を予防するには血行促進を図ることも必要です。血行不良の状態は薄毛の問題だけでなく健康全般を考えても、便秘や冷え性などの原因になりやすく改善したい問題ではないでしょうか。
カプサイシンは、血行促進に効果が期待できる成分として知られています。カプサイシンとは炭素、水素、酸素、窒素で形成されている天然の有機化合物のことです。カプサイシンというと聞きなれない人もいるかもしれませんが、唐辛子などに含まれている辛味成分のことを指します。
カプサイシンは気体になりにくいという特徴があります。そのため、唐辛子を細かく粉砕してパウダー状にしたものを調味料として使うことが多いのです。加熱しても壊れにくく、また、水に溶けないという性質があります。一方で油や酸、アルコールには溶ける性質があるので、漬け込むことで辛味成分を抽出する使い方もできます。ラー油などがこのタイプです。
カプサイシンは血行促進や発汗作用があるので、ダイエットに活用する人もみられます。血中に入ることでアドレナリンの分泌を促進してくれるので、それが脂肪の代謝や発汗作用につながるからです。適切な量を守って適度に摂取すれば頭皮の血行促進にも効果が期待できます。
しかし、カプサイシンは過剰に摂取してしまうと味覚障害の原因にもなるという見方がされています。味覚障害以外にも粘膜を傷つける恐れもあるといわれており、胃腸が荒れる場合もあります。効果的に使うには料理の薬味として加減を考え、適度にプラスすることです。
薄毛の予防に!おすすめのメニューはこちら
ここまでの内容を踏まえて、薄毛予防に効果のある食生活を考えてみましょう。紹介してきた食べ物を考えていくと和食を中心にするのがおすすめといえます。和食には薄毛予防に必要な栄養素をバランスよく摂れるメニューがたくさんあります。和食を中心に、普段の食生活に取り入れやすいメニューをいくつか紹介します。
レバニラ炒め
レバーはビタミンや鉄分が豊富で、身体全体の健康維持のためにも定期的に食べたい食べ物としてあげられます。比較的手頃な価格で作れるのもおすすめポイントです。ニラの他にもやしを加えるのもいいですが、ニンニクのスライスを加えてもいいでしょう。ご飯に合いやすく、簡単に作りやすいメニューではないでしょうか。
豆サラダ
ゆでた豆をたっぷりと使ったサラダです。サラダは季節に応じて他の野菜を変えるのもいいでしょう。ブロッコリーなどを加えてアレンジするのもおすすめです。
キムチ冷奴のレシピ
冷奴はさっぱりとした食感で、食欲がない時でも食べやすいのがポイントです。キムチをトッピングすることで血行促進が図れますし、乳酸菌も豊富に摂れます。男性でも簡単に作りやすいレシピです。ゆでたささみ肉を割いて加える、加熱した薄切り豚肉を添える、など一手間加えると立派なおかずにもなります。
フルーツヨーグルト
ヨーグルトに柑橘類などのフルーツを加えると、ビタミンと乳酸菌が一度に摂れます。食事のデザートとして添えたり小腹が空いたりした時にもおすすめです。オレンジなどの柑橘類の他にイチゴやキュウイなどもビタミンが摂れます。
手に入りやすい食材を使い、家庭で作りやすいものを簡単に紹介してみました。味噌汁の具材を工夫したり焼き魚にしたりと、料理が苦手な人は簡単なところから始めてみましょう。
普段の食生活を意識して薄毛予防を!
毎日の食生活が頭皮に与える影響が大きいことを分かってもらえたでしょうか。仕事やプライベートが忙しいとなかなか食事に時間をかけたりメニューの内容や栄養素について考えたりするのは難しい人も多いかもしれません。しかし、一度健康のバランスを崩してしまうと、そこから戻していくのはなかなか大変です。
特に薄毛が気になる人は、全体の生活習慣と一緒に食生活を見直す価値は十分にあるのではないでしょうか。薄毛だけでなく、生活習慣病を予防する上でも栄養バランスに配慮した食事は大切です。
薄毛の予防に!食べ物は何がおすすめ?のまとめ
食生活の改善ですが、いきなりしっかりやるのは続かない場合もあるので、まずできるところから始めてみましょう。毎食1品でも頭皮に良いものを考えて用意するだけでも違ってきます。または1日の中で夕食のメニューは薄毛予防を考えたものにするという方法もいいでしょう。仕事で外食が多い人は、頭皮に良い食べ物でメニューを選ぶのもひとつの改善法になります。大切なのは続けるということです。そして過剰になってしまったり偏ったりすることに注意し、バランスの良い食生活を心がけましょう。