足の臭いに悩む人は年齢、また性別を問わずに多いですね。靴を脱がなければいけない状況となったとき足が臭うことで周囲の目が気になってしまうこともあるでしょう。そんな多くの人を悩ませる足の臭いへの対策について、臭いの原因となっている2つのポイントともにご紹介します。
雑菌が原因で足が臭う場合
足が臭くなる原因には大きく2つの要因があります。
皮膚常在菌
その1つが足の皮膚に日常的に生息する「皮膚常在菌」と呼ばれる雑菌です。皮膚常在菌には、たとえばグリセリンを作り出して皮膚を保護する働きなどを持った表皮ブドウ球菌や、増殖することでニキビの原因となるアクネ菌などがあります。雑菌というと悪いイメージばかりが先行しがちですが、これらの常在菌はバランスを取って維持されることで皮膚を保護し悪い雑菌などの外敵から守っているのです。
通常、汗が分泌されても臭いは発しません。しかし、皮膚常在菌のバランスが崩れると嫌な臭いを発することがあります。汗をかくと皮膚常在菌の数が増え、皮脂や角質などをエサにして脂肪酸を作りだし皮膚の表面を酸化させます。そして、そのまま、かいた汗を放置しておくと皮脂などを過剰に分解することにより独特な臭いを発してしまうのです。
このとき厚手の靴下や靴を履いていたりして足が蒸れてしまっていると雑菌がますます増殖し強い臭いとなってしまいます。
感じ方に個人差がありますが、足の臭いは雑巾のようなチーズのような独特な臭いを持っています。そしてこの独特な臭いのもととなっている物質が「イソ吉草酸」です。イソ吉草酸は皮脂などが分解される際にできる物質で、酢酸などを仲間に持つ有機酸の一種です。
不快な臭いを発することから生活環境を損なう恐れのある物質として、環境省による「悪臭防止法」で特定悪臭物質の指定を受けているほどの強い臭いを持っています。強烈な臭いを生じさせる原因となる雑菌が足で増殖しやすいのは皮膚常在菌が高温多湿の環境を好むことが理由です。高温多湿になると、ますます汗をかきます。そして汗が増えるとさらに湿度が高くなり、汗に含まれている皮脂なども増えることで臭いを強くしていくのです。
このようなことから足の臭いを悪化させないためには、足を清潔に維持しておくよう心掛けることが必要となります。足をきちんと洗えていないと汗や皮脂などが残ってしまうことにより雑菌が増えやすくなり、臭いの発生へとつながってしまうからです。
また、足が清潔な状態でも、履く靴が不衛生であれば臭いやすくなります。蒸れたまま放置した靴は足と同様に雑菌が繁殖されやすくなります。清潔な足で履くその靴が雑菌のすみかとなっていることもあるのです。
つまり、足の臭いは足と靴を共にきれいにしておくことで初めて防ぐことができるようになっているのです
病気
不清潔であるという以外に足が臭うもう1つの原因となっているのが病気です。足の臭いの原因となっている汗が通常の量よりも多く出ることで臭いの発生の原因を増やしてしまうことがあります。
原因となるのはたとえば、その名のとおり多くの汗をかくという症状を持った多汗症(たかんしょう)です。多汗症には全身に多量の汗をかく全身性多汗症と、汗腺が集中している体の一部だけに多くの汗が分泌される局所性多汗症があります。
局所性多汗症の症状が出やすい体の部分は
- 脇の下
- 手のひら
- 頭部
- 顔面
- 足の裏
です。多量の汗をかく部位によって病名は異なっていて、
- 脇の下は腋窩多汗症(えきかたかんしょう)
- 頭部は頭部多汗症
- 顔面は顔面多汗症
- 足の裏は足蹠多汗症(そくせきたかんしょう)
といいます。足の裏に汗を多くかく人は手のひらにも多く汗が分泌されやすい傾向があることから、手のひらと足裏の両方の症状を合わせて手掌足蹠多汗症(しゅしょうそくせきたかんしょう)と呼ぶこともあります。
全身性多汗症が
- 糖尿病
- 更年期障害
- 結核
- 甲状腺機能亢進症(バセドー病)
- 褐色細胞腫
といった病気が原因であると考えられているのに対して、局所性多汗症は交感神経に関わる自律神経の乱れやストレスによって発症すると考えられています。このため、たとえば緊張したり過剰に興奮したりしたときなどに汗を多量にかいてしまったりするのです。
顔や手のひらなどといった体のさまざまな部位の中でも足は靴や靴下などを履くため、足の裏が空気に触れにくい環境にある場合が多くなっています。このため通気性が悪くなり、足の裏に汗をかくことで汗の湿気で角質がふやけると、さらに雑菌が繁殖しやすくなって強い臭いが発生しやすくなってしまうのです。
また、水虫を発症している人も足が臭くなる傾向にあります。ただし、水虫菌から臭いを発しているということではありません。水虫になるような足の環境であることが臭いを生んでいるのです。水虫の発症は白癬菌というカビの一種が原因となっています。
足などの皮膚の表面にある角質層に白癬菌が侵入し、角質層にあるケラチンという物質をエサにして生息することで生じる病気です。白癬菌は温度が50度以上で湿度が70パーセント以上の高温多湿な環境があると増殖しやすくなります。靴を履いた足の環境は白癬菌が好む環境となりやすいため、水虫になりやすくなるのです。そしてこの高温多湿の環境は雑菌が繁殖しやすい環境でもあります。雑菌の繁殖は臭いの原因となるため足が臭くなるのです。
しかし、足の臭いは多汗症や水虫に悩む人だけに起こるものではありません。肝臓や胃腸に不調がある人にも見られることがあります。肝臓には解毒作用があり体内の有毒物質を分解する働きを持った臓器です。食べ物などに含まれている毒素を無毒なものに変えます。
さらに有毒物質と同時に食べ物などにある臭いも分解しているのです。このため、肝臓の働きが悪くなると体内にある物質から出る臭いの成分を十分に分解することができなくなります。分解されずに体内に残った臭いの成分はそのまま血液にのって全身に回ります。
そし、体の外へと汗などとともに排出されて体臭となるのです。このとき足からも臭い成分を含んだ汗が排出されます。そしてこの汗が足の裏から独特な臭いとなって出てくるのです。このときに発する臭いはドブのような臭いともいわれています。
腐った卵のような臭いを発している場合には胃腸の病気が原因である可能性もあります。胃腸は体内に入った食べ物を運搬しながら消化し、栄養を吸収する働きを持った器官です。胃腸が正常に働かなくなると消化不良を起こし、胃に食べ物が残ってしまったり、体外に排出することができなくなってしまったりといったことが起こります。
食べ物が長く停滞してしまうと、やがて発酵してしまうため食べ物が腐ったような臭いを発するのです。胃腸から発生する発酵臭は肝臓と同じく血液とともに全身に行きわたり、足から出る汗に含まれて体外へ排出されます。そして足の臭いとなってしまうのです
足の臭いの予防対策は?
周囲を不快にさせてしまう足の臭い、予防方法・対策として2つの方法が挙げられます。
対策1:靴に注目!
足の臭い対策には臭いのもととなる雑菌の繁殖を促しやすい靴にケアすることがポイントのひとつとなります。高温多湿の環境を好む雑菌の繁殖を防ぐためには、靴の中の温度や湿度を少しでも下げるように通気性の良い靴を選ぶことが重要です。
ただし、どんなに風通しの良い靴を選んでも足と密着する部分は必ずあります。毎日同じ靴を履いていると足の皮膚と接する面で雑菌が繁殖するなどして臭いが発生してしまうこともあるのです。このため、普段使いの靴は必ず複数用意しておき、毎日異なった靴を交代で履くことが足の臭い対策となります。
靴の数は最低でも2~3足は用意しておくことが必要です。毎日靴を変えていても、1日に長時間同じ靴を履いていれば雑菌の活発な繁殖を防ぐことは難しくなります。毎日8時間以上靴を履く生活をしている人は、できれば1度靴を履き替えるタイミングを作ると良いでしょう。
仕事で革靴の着用が避けられない人はオフィス内だけでもサンダルに履き替えると効果が変わります。靴の種類を選ぶことができる環境にいる場合には、日常的に履く靴を蒸れやすいブーツや革靴にせず、メッシュ素材のスニーカーなどに変えると効果的です。靴を脱いだ後はアルコール入りのシートで内部の汚れや雑菌を拭き取っておくと安心です。
使用していない日は必ず風通しの良い場所で陰干しして靴の中の空気を入れ替え、靴にしみ込んだ汗などの湿気をしっかりと取り除いておきましょう。外に干すことができない日は、靴の中に入れる市販の脱臭剤や除湿剤を利用するというのも良い方法です。
靴を履くときには汗の吸収が良い中敷きを別途購入して入れ、足裏の汗で靴の中が湿っぽくなるのをできる限り抑えられるように心がけると良いでしょう。抗菌加工のある緑茶成分入りのものや、速乾性にすぐれたへちまを使用して作られた中敷きを使うとさらに効果的です。
中敷きも靴と同じように毎日同じものを使用しないようにローテーションさせて使います。使用していない日には洗ったり干したりしていつでも清潔に使えるように準備しておきましょう。
対策2:靴下でできる臭い対策
靴だけではなく靴下もまた足を包み込み足の雑菌の繁殖を促す存在です。着用する靴下は洗濯した清潔なものを毎日変えて履くことは必須となります。ただ足の臭いが特に気になる場合には、毎日変えるだけでは十分な対策とならない場合もあります。よりしっかりと臭い対策をしたいという場合には1日に数回、靴下を履き替えることも必要です。
履いた時点では清潔な状態であっても、1度汗で湿ってしまった靴下をそのまま履き続けていると雑菌が繁殖しやすくなって足から強い臭いが発生しやすくなってしまいます。
足の臭いを少しでも抑えるためには、消臭・抗菌加工されている靴下を使用するというのも良い方法でしょう。消臭加工のある靴下は抗菌や臭い物質を分解する効果をもたらす成分が靴下の繊維自体に織り込まれています。このため、汗をかいたり洗濯したりしても効果が簡単に落ちることがなく消臭作用を維持したまま使用することができるのです。
気に入ったデザインの靴下に消臭加工されたものがなかったり、すでに購入している普通の靴下をどうしても使いたかったりといった場合には、靴下用の消臭スプレーを使用するという方法もあります。履きたい靴下にスプレーをかけるだけで消臭加工している靴下と同じような効果を持って着用することが可能です。
ただし、着用する前にしっかりと乾燥させておくことが重要となります。スプレーの水分を十分に乾燥させずに着用してしまうと、足の湿度を上げてしまうことになり、逆に臭いの発生原因となってしまうこともあるからです。またスプレーを使用した場合には、もともと消臭加工されているものとは違い、洗濯したり多量の汗をかくと効果が落ちてしまったり薄れてしまったりすることもあるということを理解しておくことも必要です。
靴下へのケアでは蒸れにくい素材を選ぶということも大切なポイントとなります。蒸れにくい素材はシルクやウールなどの天然素材の繊維と綿素材を混紡したものです。綿の素材だけの靴下は汗の吸収性は高くなりますが、発散性が悪くなってしまいます。このため、シルクなどの吸湿性や吸汗性の高い素材が混じった靴下が臭い対策にはバランスの良い靴下となるのです。
他にも5本指の靴下を着用するという方法もおすすめです。指と指の間に靴下の生地が挟まることで汗が皮膚に残りべとつきにくくなって、足の臭いが発生しにくくなります
対策3:足の洗い方はつけ置き洗い!
臭いのない清潔な足を維持するためには毎日正しく足を洗浄することが重要となります。足をきれいに洗うためにおさえておくべきポイントは2点です。
1つ目が事前に汚れを浮き上がらせておくことです。すぐに足洗いを始めるのではなく、40度のお湯に事前に3分ほど足をつけておきます。このひと手間をかけることにより足の汚れが浮き上がって雑菌を落としやすくなるのです。汚れが浮き上がったら、十分に泡立てた石けんで足全体を洗います。
石けんは保湿効果の高いものではなく、殺菌力のあるものを使用すると効果的です。足を洗う際にはゴシゴシと力任せに汚れを落とそうとするのではなく、皮膚に傷をつけないように優しく泡で揉むようにしましょう。皮膚に傷が付くと、傷から悪い菌が侵入し、臭いのもととなってしまうこともあります。
また洗う場所にもケアが必要です。足の裏はもちろんのこと、指の間や爪の周辺も念入りに洗うようにしましょう。5本指靴下などを使用している場合以外では、一般的に足の指と指は常時接触している状態となっています。指の皮膚が密着していることで汗をかきやすくなり雑菌が増殖している可能性も高いため、特に念入りな洗浄が必要です。
爪の隙間も皮脂や角質などの垢がたまりやすく菌の繁殖が活発化していることがあります。柔らかい歯ブラシや爪専用のブラシなどを使って定期的に爪の間の汚れも取り除いておきましょう。
足を正しく洗うための2つ目のポイントが角質をしっかりと除去しておくことです。古い角質がたまると皮膚の表面がガタガタとした凹凸状になり、その隙間に雑菌が入り込むと繁殖しやすくなります。また角質は雑菌のエサとなるものでもあるため、活発な繁殖を事前に防ぐためにも十分に除去しておくことは重要となるのです。
古い角質を取り除くためには角質をケアするための専用のグッズを使用する必要があります。かかとや指の付け根など角質ができやすいところを定期的にケアしておきましょう。角質を除去する前には必ず事前に足を洗い清潔な状態にしておくことが必要です。
また、濡れたままでケアすることはせず、しっかりと水分を拭き取ってからこするようにしましょう。角質ケアを行う頻度は2週間から1カ月に1回程度が目安となります。このくらいが肌のターンオーバーに合わせることができるタイミングとなるからです。
より清潔にしたいと角質ケアを頻繁に行いすぎると足の皮膚を傷つけてしまい逆に臭いの原因を作ってしまう可能性があるため注意しましょう。
対策4.家にあるものでできる対策!
足の臭い対策を行う場合に、まずは身近にあるものから気軽に始めるという方法もよいでしょう。たとえば、スーパーなどでも簡単に手に入れることができる重曹で対策をとることができます。重曹は家庭で料理や掃除に利用されることもあるものなので安心して使用することができるという点が魅力です。
重曹は化学的には「炭酸水素ナトリウム」と言い、弱アルカリ性の性質を持っている物質です。足から発する臭いの元となっているのがイソ吉草酸という成分ですが、イソ吉草酸は酸性であるため重曹のアルカリ性の性質と合わせることで中和し臭いを抑えることが可能となります。特に酸っぱい臭いや納豆のような臭いを感じる場合にはおすすめです。
重曹は粉状のものであるため、そのままの状態で直接足に塗ることはできません。水に重曹を溶かした重曹液を作って足に塗布したり、スプレーにしてかけたりして使用すると良いでしょう。重曹液は水100ミリリットルに対して重曹小さじ1杯程度が目安です。
また、重曹を入浴剤の代わりに使用するという方法も臭い対策となります。お風呂に一握り程度の重曹を入れるくらいが適量です。足の臭い対策だけではなく、臭いがしみ込んでしまった靴や靴下を洗う際にも便利に使えます。ただし、洗う際に50度以上のお湯を使う場合には手で直接触れることは危険であるため、ゴム手袋などを着用するようにしましょう。
使用すると酸っぱい臭いがするというデメリットはありますが、殺菌作用に期待が持てるという点が魅力となっているのがお酢です。特に白癬菌という菌に対してお酢の成分は有効とされているため、足の臭い対策とともに水虫対策をしたいという人にとっても魅力的なものとなります。
酢を使った対策方法としておすすめなのが足浴です。酢を大さじ3杯くらい混ぜたお湯を張った洗面器やバケツなどを使い、週に1回くらいのペースで行うと効果的でしょう。足を浸す時間は5分ほどが目安で、足浴後にはしっかりと酢を洗い落としておくことが必要です。
薄い酢水を作ってスプレーにし、使用後の靴にかけて殺菌するという利用方法もあります。
柑橘類や梅干しなどに含まれているクエン酸も足の対策として活用することが可能です。クエン酸はヒドロキシ酸のひとつで薬局でも市販されています。酸性が強く、殺菌作用も強力でたんぱく質やカルシウムを溶かすという性質を持っていることが特徴です。強い殺菌力で体臭の元となる雑菌を減らしてくれるため足の臭いの改善に期待が持てます。
ただし、クエン酸は塩素系の物質と混ざると化学反応を起こし、有毒ガスを排出することがあります。使用する際には十分に気を付けて取り扱うようにしましょう。
臭い対策をしても効果がでなければ?
セルフケアによる対策では十分な効果が見られない場合には病気の可能性もあります。肝臓や胃腸の不具合の他にも足の臭いが何かしらの病気のシグナルとなっているケースもあるのです。病気によっては早期発見と早期治療が重要になるケースもあります。このため不安を感じたら早めに病院へ行っておくと安心です。
また、内臓の不具合だけではなく、水虫のような外科的な症状の場合でも迅速な対応が早期治癒につながることがあります。水虫は重度になると市販薬やセルフケアだけでは改善することが難しくなるものです。病院で的確な診断を受け外用薬や内服薬を処方してもらったり、場合によってはレーザー治療などを行ったりすることで完治することは可能となります。
内臓の病気でも水虫のような症状でも、放置しておく限り臭いは改善されません。健康であることを望んでの診療はもちろんのこと、足の臭いを改善するためにもセルフケアによる対策に限界を感じたら、すぐに病院へ行って治療を受けておくことがおすすめです。
足が臭い?2つの原因と4つの対策方法!のまとめ
足の臭いは正しい対策をきちんと取ることで改善させることに期待は持てます。まずは足の臭いの原因を知り、原因に合った方法を実践してみましょう。ただし、実践した方法が自分に合わなかったり、自分に合った対策を取ってもすぐに良くならなかったりといったケースもあります。そのような場合には、即効性のある方法を準備しておくと安心です。たとえば、消臭スプレーの使用です。会社の人や友人たちと食事に訪れたお店が予想していなかったお座敷であった場合などでも、トイレなどを利用し準備しておいた消臭スプレーを脱ぐ前にかけておくなどして対処することはできます。足の臭いの改善は難しいとあきらめずに、さまざまな対策から自分に合った方法を見つけて臭わない足を目指していきましょう。