お仕事中に親しい方の訃報に接するということはめったにないとはいえ、全くないということではありません。思いがけずそういう状況に見舞われ、その対応で慌ててしまうということは社会人として避けたいものです。そこで、社会人として押さえておくべき弔事の際のふるまい・マナーについて解説していきます。
勤め先でお通夜、お葬式の連絡を受けたとき
取引先の社長や担当者の訃報に接したときは、思いがけないことから慌ててしまうこともよくあります。しかし、お悔やみの言葉をお伝えすると同時に気持ちを落ち着かせて、必要な情報を聞き取ります。
必要な情報とは、
- 故人の氏名
- 亡くなった理由
- 年齢
- 喪主の氏名・故人との間柄
- お通夜、葬儀・告別式の会場・時間
といったところです。
会社にいる際は上司や年配の社員に取り次ぐこともできますが、携帯電話での連絡が一般的になっている今、担当営業の携帯電話に掛かってくることも珍しくありません。
慣れないとどのように応対してよいのか戸惑ってしまうこともありますが、最低でも先ほど触れた情報については聞き取ることができるよう心構えしておきましょう。
弔電を送る
会社の取引先のお通夜・葬儀の場合は、弔電を送るのが一般的です。お通夜の当日には届けられるよう手配します。
NTTではインターネットでも弔電を受け付けていますが、弔電の台紙には様々な種類があります。取引先に失礼がないよう、上司と相談してふさわしい台紙を選んで送るようにしましょう。
お通夜の服装
従来はお通夜に喪服を着ていくのは、故人の死期を予想していたように捉われるのでさけるべき、という考えが主流でした。ただ、お通夜自体が葬儀・告別式の一部としてみなされるようになってきたことから、喪服を着用していくのも一般的になってきています。
その一方で出先から急遽お通夜の会場に向かわなければならないこともあるでしょう。ダーク系のスーツを着ているのであればそれで、もし明るい色のスーツを着ているのであればせめて黒いネクタイを準備してお通夜に出席するようにします。
カジュアルな服装でいたのであれば、お通夜の出席は見合わせたほうが失礼に当たらないでしょう。
葬儀・告別式の服装
葬儀・告別式はお通夜の翌日に執り行われることがほとんどです。家に戻る時間的余裕もあるので、喪服で参列します。靴も黒色で装飾が施されていないものを選んで履いていきましょう。
寒い時期はコートを着て会場を訪れることになりますが、コートもダーク系の色のものを着用していきます。皮のコートは殺生をイメージさせるという理由からNGであることも覚えておきましょう。
香典
お通夜に持参するものに香典があります。会社の備品に香典袋があればそれを、なければ文房具店やコンビニなどで香典袋を用意します。
香典袋には「御香典」「御仏前」「御霊前」など書かれているものがほとんどですが、個人の宗教や宗派によってはふさわしくない表記のものもあるので注意が必要です。
どの宗教・宗派でも共通して使える表書きは「御霊前」なので、このタイプの香典袋を準備します。包む金額にふさわしい香典袋を選びましょう。
香典の金額は?
香典に包む金額は、会社関係であれば3,000円、5,000円、10,000円というのが相場です。生前の親交の深さによっても変わってきますが、5,000円以上を目安にしておきましょう。
”4”と”9”のつく金額は”死””苦”を想起させることから、避けるのがマナーです。
焼香
1人で参列する際は問題ありませんが、勤務先の関係者も参列する場合は焼香の順番にも気を付けなければなりません。焼香の順位は役職が上の人から順々に行っていきます。
宗教や宗派によって焼香の手順は違ってきますが、
- 遺族、僧侶、遺影に一礼
- 香をつまみ、香炉にくべる
- 祭壇に一礼
- 一歩下がって遺族に一礼
というのが無難な方法です。いざというときは、自分より前に焼香した人の動作を真似るのも1つの対処法です。
参考⇒https://www.youtube.com/watch?v=4VY5V3XxLxs
以上は仏式の焼香方法ですが、参考までに神式・キリスト教式のやり方も学んでおきましょう。
神式の場合
仏式の焼香に当たるものは玉串奉奠(たまぐしほうてん)と言われるものです。
この手順は
- 神官から渡された玉串を受け取って一礼。玉串を受け取る際は、右手に根元、左手に葉がくるように、身体に水平になるように持ちます。
- 祭壇に進み一礼します。玉串の根が自分の胸元に来るように時計回りに回し、根本は左手に、葉を右手に持ち換えて、祭壇に根元が向かうように時計回りに回してお供えします。
- その後、一歩下がって”二礼二拍手一礼”したのちに祭壇を後にします。
二拍手の際には音がならないように気を付けてください。
参考⇒https://www.youtube.com/watch?v=9f_MgNtQTXE
キリスト教式の場合
キリスト教の場合、焼香の代わりになるのが”献花”と言われるものです。
手順は花が右手に、茎が左手になるように受け取り、献花台の前で一礼します。そこで花が手前に、茎が祭壇に向くように時計回りに90度回し、献花台に供えます。
手を前に組んで黙祷し、牧師(神父)と遺族に一礼して下がります。
参考⇒https://www.youtube.com/watch?v=qxLlIxuxqFY
まとめ
どんなに元気な人であっても、別れのときは必ず来ます。常に心が前をしておく、というのもおかしな話ですが、いざとなって慌てることがないよう、最低限のマナーは身に着けておきましょう。