資格を取ることでもらえる給付金のことを「教育訓練給付制度」といいます。
教育訓練給付制度は国の資格取得支援制度によるもので、条件を満たしている人が資格取得のために特定の講座を受講し修了すると、受講費用の一部が補助金として支給されるのです。
この記事では、教育訓練給付制度によっていくらもらえるのか・対象者や申請方法について、3つの制度に分けて詳しく紹介します。
一般教育訓練給付制度
一般教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了し条件を満たせば、修了までに支払った学費の20%がハローワーク(公共職業安定所)から給付される制度です。
一般教育訓練給付制度にて取得できる資格の一例はこちらです。
- 自動車免許(普通二種、中型車、大型車、大型二種、大型特殊、けん引免許)
- 簿記検定試験(日商簿記)
- 税理士
- 宅地建物取引士
- 行政書士
- 社会保険労務士(社労士)
- ウェブデザイン技能検定
- MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
- 介護職員初任者研修
一般教育訓練給付制度の受給対象者・条件は?
一般教育訓練給付制度は、初めて利用する場合とそうでない場合とで条件が異なります。
- 初めて利用する場合
→通算1年以上の加入で受給対象
- 2回目以降利用する場合
→雇用保険の被保険者期間が前回受講開始日より3年以上、前回の支給決定日から3年以上で受給対象
なお、すでに退職している場合には退職日の翌日から1年以内に受講を開始する必要があります。
ただし、妊娠・出産、疾病、負傷などの理由があれば受講開始期間を最大20年以内まで延長することが可能です。
一般教育訓練給付制度の支給額は?
スクール・予備校といった教育訓練施設に実際に支払った受講費用の20%・最大10万円(分割払いの場合、支払い済の金額)が支給されます。
※ただし、その20%の金額が4,000円を下回ると支給対象外となります
一般教育訓練給付制度の申請方法は?
自身の住所を管轄するハローワークの窓口に、「教育訓練給付適用対象期間延長申請書」を提出することで申請できます。
申請期間は、受講修了の翌日より1ヶ月以内となるため、締め切りを過ぎてしまわないよう要注意です。
専門実践教育訓練給付制度
専門実践教育訓練給付制度は、雇用者の中長期的なキャリア形成を支援するための制度で、一定条件を満たすことで受講料の最大70%が支給されます。
専門実践教育訓練給付制度にて取得できる資格の一例はこちらです。
なお、専門実践教育訓練給付制度に関わる講座と資格は年々増えているため、厚生労働省のホームページ等で確認するといいでしょう。
- 介護福祉士
- 看護師、准看護師
- 栄養士
- 臨床検査技師
- 社会福祉士
- 保育士
- 歯科衛生士
- 美容師
- 調理師
- 電気工事士
- 建築士
- 航空運航整備士
専門実践教育訓練給付制度の受給対象者は?45歳以上はもらえない?
専門実践教育訓練給付制度においても、初めて利用する場合とそうでない場合とで条件が異なります。
- 初めて利用する場合
→雇用保険の被保険者(雇用保険の対象)期間が通算2年以上、在職中または離職後(一般被保険者資格を喪失して)1年以内で受給対象
- 2回目以降利用する場合
専門実践教育訓練の受講開始日に雇用保険の支給要件期間が3年以上(受講開始日に離職している場合も支給要件期間3年以上)、在職中または離職後(一般被保険者資格を喪失して)1年以内で受給対象
そのほか、教育訓練支援給付金の受給資格確認時に離職している(一般被保険者ではない)ことや、下記も条件として挙げられます。
- 専門実践教育訓練の講座を修了する見込みがある
- 専門実践教育訓練の受講開始時に45歳未満である
- 受講する専門実践教育訓練が通信制または夜間制でない
年齢要件(45歳未満)に関しては他の給付制度と異なるため、特に注意が必要です。
[ad#ad-1]専門実践教育訓練給付制度の支給額は?
専門実践教育訓練給付制度では、訓練費用の50%・年間最大400,000円(最小4,000円)支給されます。
訓練期間は最大3年(原則2年)で、訓練期間により支給の上限額が異なります。
訓練期間 | 支給上限 |
1年 | 40万円 |
2年 | 80万円 |
3年 | 120万円 |
さらに、資格取得および修了翌日から1年以内に被保険者として雇用された場合、訓練費の20%が上乗せで支給(合計70%)されます。
※教育訓練を途中で辞めた場合や、規定の訓練期間内に終了する見込みが無くなった場合は以降の支給もストップ
上乗せ後の支給額上限(訓練費用の70%)も、訓練期間によって異なります。
訓練期間 | 支給上限 |
1年 | 56万円 |
2年 | 112万円 |
3年 | 168万円 |
専門実践教育訓練給付制度の申請方法は?
専門実践教育訓練給付制度による受講開始日1ヶ月前までに、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」を受けなければなりません。
キャリアコンサルティングを受け「ジョブ・カード」を作成・交付されるので、コンサルティングを受けた証明となるものや必要書類とセットで、あらかじめハローワークに提出する必要があります。
特定一般教育訓練給付制度
特定一般教育訓練給付は、速やかな再就職および早期のキャリア形成を支援するための制度で、一定条件を満たすことで受講料の最大40%(上限20万円)が支給されます。
特定一般教育訓練給付にて取得できる資格の一例はこちらです。
専門実践教育訓練給付制度にくらべ、比較的短期の講座が指定されているのが特徴でしょう。
- 大型自動車第一種・第二種免許
- 中型自動車第一種・第二種免許
- 大型特殊自動車免許
- けん引免許
- フォークリフト運転技能講習
- 玉掛け・高所作業車運転・小型移動式クレーン運転・床上操作式クレーン運転・車両系建設機械運転技能講習
- Oracle認定資格・LPICなどでITSSレベル2の資格
- 介護職員初任者研修
- 福祉用具専門相談員
- 宅地建物取引士資格試験
- 自動車整備士
- 電気主任技術者試験
特定一般教育訓練給付制度の受給対象者・条件は?
- 初めて利用する場合
→受講開始日に雇用保険の被保険者(雇用保険の対象)期間が通算1年以上あれば受給対象
- 2回目以降利用する場合
→受講開始日に雇用保険の被保険者(雇用保険の対象)期間が通算3年以上あれば受給対象
なお正社員だけでなく、パート・アルバイトや派遣労働者の方も対象となります。
特定一般教育訓練給付制度の支給額は?
特定一般教育訓練給付金は、教育訓練施設に支払った受講費用の40%・最大20万円が原則で2年間(資格取得に繋がる場合には最大3年間)支給されます。
ただし、他の教育訓練給付制度と同様に、支給額が4,000円を下回った場合は支給されません。
特定一般教育訓練給付制度の申請方法は?
特定一般教育訓練給付金の受講開始日1ヶ月前までに、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリアコンサルティング」を受けなければなりません。
キャリアコンサルティングを受け「ジョブ・カード」を作成・交付されるので、コンサルティングを受けた証明となるものや必要書類とセットで、あらかじめハローワークに提出する必要があります。
また受講修了後は、受講修了日の翌日から数えて1ヶ月以内に申請を行う必要があります。
まとめ
資格取得を目指すのであれば、給付金が貰えることも視野に入れるといいでしょう。
それぞれ条件や期間などが異なるため、問題なく受け取れそうか事前確認は必須です。ご自身の生活環境やキャリアプランに合わせて是非検討してみてくださいね。