「仕事が忙しくて睡眠時間が取れない」「たっぷり寝ているのに疲れが取れない」という具合に睡眠にまつわる悩みがある方がたくさんいらっしゃいます。
睡眠負債という言葉も一般化してきましたが、それを解消するには、ただ睡眠時間を増やせばいいというわけではありません。
実際に睡眠時間3時間でも日中スッキリ活動できるという方がいらっしゃいます。
しかし、「睡眠時間3時間という短さで日中スッキリ活動できるのか?」と感じる方もおられるでしょう。
そこで、この記事では睡眠時間3時間という短さでスッキリできる方が普段から実践している方法を紹介します。
さらに、質の硬い睡眠を得るための方法、自分に合った睡眠時間の見つけ方ついても取り上げます。
理想の睡眠時間を探しているという方はこの記事を参考にしてください。
睡眠時間3時間でスッキリ!濃縮睡眠とは?
「濃縮睡眠」とは睡眠セラピストとして一般社団法人 濃縮睡眠協会を設立し、睡眠セラピストの育成、濃縮睡眠の普及のため活動しておられる松本 美栄氏が考え出した睡眠のためのメソッドです。
質の高い睡眠とは「寝つきや寝起きが良く、適切な睡眠時間で中途覚醒がなく起床時間にスッキリ目覚められること」といえます。
つまり、質の高い睡眠は10時間や8時間というベッドに入っている長さに依存するのではなく、入眠から30分以内に、最も深いレベルのノンレム睡眠状態に入って、一定時間深い眠りの状態を維持した睡眠を意味するというわけです。
眠りには「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」がありますが、睡眠時間が長くても浅い眠りであるレム睡眠がずっと続いている状態なら、長く寝ていても疲れが取れないということが起こります。
さらに、ベットに入ってから深い眠りであるノンレム睡眠に入るまでの時間が長ければ、それも睡眠時間の長時間化につながります。
一般的に、入眠してからノンレム睡眠に入るまではおよそ1時間30分かかるそうです。
睡眠セラピストの松本 美栄氏は、入眠からノンレム睡眠に入るまでの時間を30分に短縮しその後もノンレム睡眠の状態を持続することを「濃縮睡眠」と呼んでいます。
短時間でノンレム睡眠に入りその状態が維持されるので、3時間という短時間の睡眠でもスッキリ目覚めることができ、起きている間も効率的なパフォーマンスができるというわけです。
実際、「濃縮睡眠」の考案者である松本 美栄氏も3時間睡眠で元気に活動していらっしゃいます。
睡眠時間3時間でスッキリ目覚めるための方法
睡眠時間3時間でもスッキリ目覚めることができる「濃縮睡眠」を実践するには次の3つを意識することが大切です。
- 脳の疲労を取り除く
- 血流を改善する
- 睡眠環境を整える
これらの方法は、「誰でも簡単に疲れない体が手に入る 濃縮睡眠®メソッド 」という著書や一般社団法人 濃縮睡眠協会の講座などでさらに具体的に学ぶことが可能です。
※出典:Amazon
脳の疲労を取り除く
短時間の睡眠でもスッキリ目覚めることができる濃縮睡眠を実践するためには、体ではなく脳の疲れを取ることがポイントです。
体を動かす仕事に就いている方が、疲れが取れないと感じるのは容易に理解できますが、デスクワークなどで体を動かさない仕事に就いている人でも疲れが取れないと感じている方が多くいらっしゃいます。
これは、頭を使う事務仕事や接客、パソコンやスマホの使用による目の疲れ、人間関係や仕事のプレッシャーからくるストレスで脳が付かれているからだと説明されています。
脳が疲れた状態では交感神経が活性化しており、それはリラックスできず緊張が続いているという状態です。
このままベッドや布団に入れば、深い眠りに入ることができないので脳の疲れを取る必要があると説明されています。
脳の疲労を取り除く方法【頭蓋マッサージ】
一般社団法人 濃縮睡眠協会の公式サイトには、濃縮睡眠を実践するための方法がいくつか紹介されています。
脳の疲労を取り除く方法として紹介されている、頭蓋マッサージのやり方を簡単に説明しましょう。
- 耳の上2cmほどのところを手のひらの付け根で6~10回押す
- 側頭部全体を、親指を除く4本の指を立ててほぐす
- 5本の指で頭のてっぺんをゆっくり回しながら押し込み、それから力を抜く。これを6~10回繰り返す
※出典:一般社団法人 濃縮睡眠協会
力加減のコツは「痛気持ちいい」くらいだそうです。頭が疲れていると感じたとき、仕事の休憩時間などにマッサージできます。
血流を改善する
3時間の睡眠時間でもスッキリ目覚められる濃縮睡眠の2番目のポイントは血流の改善です。
血流を改善し、血液の循環が良くなれば筋肉が緩んだ状態になるので深く眠れるようになります。
逆に、デスクワークやスマホの見過ぎなどで猫背の状態になり、肩甲骨まわりの筋肉がこわばり血流が悪い状態のままでは、寝ても疲れが取れず首や肩がこるということがあるでしょう。
こうした理由から、短時間の睡眠でもスッキリ目覚めるためには、血流の改善が欠かせないというわけです。
血流を改善する【肩甲骨回りを緩めるストレッチ】
一般社団法人 濃縮睡眠協会の公式サイトでは、血流の改善効果が期待できるものとして肩甲骨回りを緩めるストレッチが紹介されています。
- 両手の指先を方につけ、後ろ側に肘を大きく回しながら、同時に肩を回す
- 10回程度回したら、逆方向にも回す
※出典:一般社団法人 濃縮睡眠協会
このストレッチは座ったままの状態でも可能です。
肩や背中の筋肉のこわばりを感じたなら、肩甲骨回りを緩めるストレットを実践してみてください。
睡眠環境を整える
短時間の睡眠でもスッキリ目覚められる濃縮睡眠を実践するための3つ目のポイントは睡眠環境を整えることです。
睡眠の質は、寝具・寝室の清潔さ・寝室の温度や湿度といった寝室の環境の影響を受けます。
したがって、スムーズな入眠、質の高い睡眠を目指すには睡眠環境を整える必要があるわけです。
睡眠環境を整えるための方法
一般社団法人 濃縮睡眠協会の公式サイトでは、睡眠環境を整えるためのに誰でもできる簡単な方法がいくつか紹介されていました。
- 寝室の拭き掃除をする
- 寝室の温度調整は寝る時間よりも少し早めにおこなう
- 温度の調整には冷感機能のあるシーツやパジャマがおすすめ
- 寝具やパジャマの肌触りにも注意
※出典:一般社団法人 濃縮睡眠協会
寝室の拭き掃除は睡眠環境を整えるための簡単な方法です。
ホコリの多い寝室では呼吸が自然と浅くなるので、リラックスできず深い眠りは達成できません。
寝室全体はもちろん、棚の上やベッドの下なども定期的に拭き掃除できるでしょう。
入眠のときに体と脳の温度は下がっていきます。したがって、寝室が暑すぎるとスムーズな入眠ができません。
寝室の温度はすこし涼しく感じる程度にし、温度調整は寝るタイミングではなく、寝る少し前におこなうのがおすすめです。
寝具やパジャマにも気を配ることができます。肌触りの良いものはリラックス効果が期待できるので睡眠の質の向上になるでしょう。
濃縮睡眠のメソッドは今回紹介した方法だけではありません。
短時間の睡眠でスッキリ目覚められる濃縮睡眠が気になるという方は松本 美栄氏著書や一般社団法人 濃縮睡眠協会の公式サイトをご覧になってください。
睡眠の法則を知れば短い睡眠時間でも効果的に働ける!?
「7,8時間以上寝ているのに昼間に眠くなる」という方がいらっしゃいます。その原因は質の高い睡眠が取れていないことにあるようです。
質の高い睡眠が取れれば、極端な話ですが3時間程度の睡眠でも日中スッキリした状態で過ごすことが可能といわれています。
そして、正しい睡眠につながる方法を知っていれば、寝不足解消だけでなく、日中のパフォーマンスアップにもつながります。
そして、質の高い睡眠につながる「睡眠の法則」として注目されているのが、作業療法士として臨床の現場でそれを実践してきた菅原 洋平氏の「4-6-11の法則」です。
「4-6-11の法則」とは?
菅原 洋平氏が臨床の現場で実践してきた「4-6-11の法則」は、起床から4時間後、6時間後、11時間後の行動で生体リズムを整え、質の高い睡眠につなげるというものです。
- 起床から4時間以内に太陽光を見る
- 起床から6時間後に目を閉じる
- 起床から11時間後に姿勢を良くする
具体的な方法は、菅原 洋平氏の著書である「あなたの人生を変える睡眠の法則」や「誰でもできる! 「睡眠の法則」超活用法」で説明されています。
※出典:Amazon
起床から4時間以内に太陽光を浴びる
起きてすぐに太陽の光を浴びることが、4-6-11の法則における朝のルーティンです。
網膜から入った外界の光刺激は、睡眠を誘発するメラトニンの分泌を抑制する効果があります。
※出典:e-ヘルスネット
したがって、起きたらなるべく早く太陽の光を見るため窓際に移動しましょう。通勤や通学の時間を活用して太陽を浴びる習慣をつけることができます。
起床から6時間後に目を閉じる
起床から6時間後におこなうルーティンは目を閉じることです。
たとえば、15分程度の昼寝は、午後からの眠気を解消し活力を与えてくれます。高齢者でも30分程度の昼寝を上手に活用すれば、夕方のうたた寝が減少し、夜によく眠れるようになります。
※出典:e-ヘルスネット
起床から11時間後に姿勢を良くする
体温は体の表面の「皮膚体温」と、脳や内臓など体の内部の「深部体温」があります。
日中の深部体温は皮膚の温度より3~5度高く、体内時計と連動し夜9時くらいをピークに低下していくのが特徴です。
そして、皮膚体温と深部体温の差が小さくなれば眠たくなり、眠るときには手足から熱を放出して深部体温を下げます。
つまり、深部体温をコントロールすることが質の高い睡眠を得るためのポイントです。
「4-6-11の法則」では起床から11時間後に、椅子に座ったままでもいいので5分間程度姿勢を良くすることをすすめています。
朝7時起床の方であれば夕方6時くらいに、姿勢を良くする、もしくは運動などをすることで深部体温を上げておけば、その後、深部温度が徐々に下がってふさわしい時間に眠気がやってくるようになるでしょう。
入浴後すぐの就寝は質の高い睡眠につながらない
深部体温が下がることで眠くなることを説明しました。
たとえば、熱いお風呂に入ってからすぐに寝ようとしても、なかなか寝付けないということがあります。
これは、深部体温が下がっていないからです。就寝前の入浴は、寝る直前ではなく、寝る1時間前にし、リラックスしてからベッドや布団に入ることをおすすめします。
さらに、考え事がいっぱいで寝付けないということもあります。これは頭の深部体温が上がったままの状態だからです。
そうした状態では、冷却枕や保冷材などで文字通り頭を冷やすことができるでしょう。
体は寝るときに、手足から熱を放出し深部体温を下げようとするので、靴下は寝る前に脱いでおくのがおすすめです。そうすることで体温を上手に逃がすことができます。
自分にとって適切な睡眠時間の長さとは?
3時間という短時間でもスッキリ目覚められる濃縮睡眠、さらに短時間の睡眠でも効果的に働けるといわれている「4-6-11の法則」を紹介しましたが、すべての人がこれを実践できるわけではありません。
適切な睡眠時間の基準というものはなく、人それぞれに適切な睡眠時間があるからです。
さらに、季節・加齢などもどれくらい睡眠が必要かに影響します。
では、自分の睡眠時間が適切かどうかはどのように判断できるのでしょうか。それは日中スッキリ活動できているかどうかで判断できます。
たとえば次の点を考えられるでしょう。
- 日中眠くならない
- 頭がスッキリしている
- 疲労感が残っていない
こうした条件を満たしているなら、仕事や家事、趣味や運動など日中の活動に支障が出ることはないので、適切な睡眠が取れていると判断できるでしょう。
まとめ
睡眠時間3時間でもスッキリ目覚められる濃縮睡眠、質の高い睡眠で日中スッキリした状態を維持できる「4-6-11の法則」を紹介しました。
こうした方法を実践すればだれでも短時間の睡眠でスッキリ目覚めて、日中も活発に活動できるようになるというわけではありません。
なぜなら、適切な睡眠時間は、人それぞれ違うからです。3時間程度の短い睡眠時間で十分な方もいらっしゃれば、8時間以上の睡眠が必要な方もいらっしゃいます。
質の高い睡眠を得るために、起きてから寝るまでの生活リズムを整え、自分が日中快適に活動できる睡眠時間をぜひ見つけてください。